読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『セルフアサーショントレーニング』 菅沼憲治 著

セルフアサーショントレーニング エクササイズ集

セルフアサーショントレーニング エクササイズ集

中身はとても実践的で、いろいろ鬱屈したり悩んだりした場合に、この本に書いてあるように、エクササイズやロールプレイングを通して考え方を修正していけば、とても気分が前向きになって、心穏やかになるのではないかと感じた。


ただ、はじめにのタイトルから、「アサーティブ行動に成るために」という言葉が、どうも一言で聞いてなじめない。
「・・に成る目標は、人間を大事にすることを学ぶこと。それはすなわち、今、ここに生きる自分を大事にすること」と続く。
著者の他の本のタイトルにあるように「自己主張」とだけではいいきれないため、この「アサーティブ」を使って概念を提示しているのだろうけど、この言葉を前提に、(まあこの本が、そのエクササイズという前提だから仕方ないとは思うものの)、論を進められてもとっつきにくいところがあることは否めない。
内容は、これまで他の本で読んできた認知療法的で、いわゆる認知や考えの歪みを、こういう風に直していくのかとは思ったが・・。


p6:人生を意義あるものにするポジティブ感情:「変化は何歳になっても起こる」・・完璧な人生や完璧な結果を求めて努力することは大切ですが、すべてが思い通りに行くとは限りません。人間は不完全な状況も、自分の人生として受け入れる気持が必要なのです。これが受容です。もう一つは、人間は「強みの部分に気づき、それを育てるとパワフルになる」ということ「ポジティブ感情」が、人生を意義あるものにするということです。


p10〜(要旨):山岸敏男のいう「安心社会」はリスクが少ない一方で閉鎖的な特徴をもっていて、日本人が世間体を必要以上に気にする習慣は、このような国民性に由来する部分が多分にあるが、現代の「高度高密度情報化」社会では、日本人にとって葛藤の連続となる。・・心理ゲームが横行するなかで、信頼社会の構築が必要で、その育成に一役買うのがセフルアサーショントレーニング。自分らしい疲れない生き方をするために、アサーティブ行動は自分が自分に向けて声をあげ、立ち上がる行動。要するに「自己信頼」を基盤に自発する行動ともいえます。


p35:アサーティブに成るということは自律(立)へと向かい、健康にいきることにほかなりません。


p38:エクササイズとその課題:必要な4つの基本的課題
1.C:Coping skill interpersonal conflict 対人葛藤への対処行動:ぶつかり合いをどう乗り越えるか
2.A:Acceptance 受容:不完全であることを認めた上で、それをどのように受け止めていくか
3.R:Right of assertion 権利主張:人を操らず操られないようにするには
4.D:self disclousure 自己開示:本音を多少のリスク覚悟でどう伝えていくか


p134:不健康なネガティブ感情を健康的なものに変化させるときに大切なのは、現実検討力です。つまり「あらねばならぬ」という歪んだ思い込みを、現実に即して払拭していくのです。


p171:早期回想が健全であり、感情が肯定的でしかも行動が自発的であると、人生哲学は建設的で豊かになるのです。


p172:自分流儀の人生とは、エリスが目標として掲げた受容が身についた人ならではの人生のスタンス(人生哲学)のことなのです。自分も他人も人生までも不完全であることを認め、その事実のうえに自分の人生を愉快でしかも楽しく肯定的に生き抜いていくのです。・・ロールプレイングを通して、す役たちは感情、思考、行動のいずれかの偏りに気づき、その事実を受容していきました。つまり彼らは受容を学んだ結果、自分流儀の人生に気づくことができたのです。


p174:アサーション権宣言:「自己主張トレーニング」著者のロバート・アルベルティとミッシェル・エモンズが、他人を傷つけない限り、誰もがアサーティブ行動のかなめとして、3つのアサーション権を持っているといった。
1.自分自身である権利 2.自分を表現する権利 3.以上二つの権利を行使するときに、罪悪感や無力感を持たなくていい権利
→宣言1.誰も、自分の思考・感情・行動は自分で決めることができて、しかも自分が起こしているものである。だから、その結果が自分に及ぼす影響について責任をとってよい。
(←p111:思考、感情、行動の3つのカードで、相手とは違うカートを使う方が人間関係がうまくいく)
2.誰も、自分の行いことは理由をいったり、言い訳をしたりしないで行ってもよい。・・・11項目あり・・


←受容という言葉は、キューブラーロスさんの「死の瞬間」のテーマでもあったかと思うが、その境地に達するまで、もっといろんなことを経験しなければいけないのだろうか・・・

{フォーラムで10/5借り22読了}