読書録

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『新しい道徳』 藤原和博 著

新しい道徳 (ちくまプリマー新書)

新しい道徳 (ちくまプリマー新書)

ちくまプリマー新書という中高生向きの本だが、とても読みやすく、著者の考えがよくわかる。

今は、生きやすいからこそ、とても生きにくい時代で、生き方に、正解があるわけでもない。
著者が何度もとりあげるように、これまでの「情報処理力」ではなく「情報編集力」を
これからは身につけさせることが重要だという論旨には、全く異論がない。

むしろここまで生きてきて、自分でもまだ、「答え」は、なんら見つかっていないとさえ思う。

道徳教育をめぐっては、戦前への回帰批判から議論のあるところではあるが、著者がいうように、
なんでも自分が中心(ミーイズム)の新自由主義でも、すべての権威を横並びにする相対主義でもなく、
公共性を重んじながら、他者からの信頼というクレジットを高めるために、
社会に貢献しながら自律的に生きるという生き方は、確かにあり得るのだと思う。(p139)

また、あえて夢を持たなければいけないという不安ではなく、変化の激しい社会にあっては、
自分の足で一歩一歩、歩くしかないという言葉は、子どもに伝えていきたいと思う。
「正解」のない成熟社会で、「納得解」を見つけていくために。

{図書館から10/5借り8読了、記入は27}