読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『中高年のこころの健康学』 本明寛 著

中高年のこころの健康学

中高年のこころの健康学

この本の画像をいつものように検索して、著者名でひいたら、194冊もヒットした。本明(もとあき)先生は、なんとたくさんの仕事をしてきたのだろうと、まず驚いた。あとがきに、出版されたあまた著者の本をもとに全面的に稿をおこしたと紹介しているが、それだけ生き方のエッセンスがつまっているようにも思う。なんといっても、わかりやすく、すっと入ってくる。
直近に読んだ茂木先生の引用した論語も同じように登場していたほか、この読書録でも書いたフランクルの「夜と霧」も随所に引用され、懐かしい思いさえ感じた。最初の方と、結語にフランクルは引用され、「生きるとはその意味を考えながら生きぬくことだと思いいたった」と紹介する。それでは、貴重な言葉の引用を以下に。

p鄱:人の言葉や与えられた役割というものが、我々を「老人化」していくということが起こるのです。これに対処するにはどうしたらよいのか。ごく単純に言ってしまえば、自分で自分の人生を高く評価して、死ぬ直前まで、若いころと同じように生きることです。「若くいる」といは、若いころの気持ちをもちつづけることで、その立証は、自分の言動、特に行為によって可能なのです。
p酈:私は四十過ぎからの人生後半の生き方こそ、この「見直し」「考え直し」「再評価」の心の活動を通して生き直す、所有の幸福の体験(価値の高いものを持ち、社会的権威をもつ幸福)から人間としての幸福の意識(あなたと共にいるという安心感、信頼感による幸福)へ発展するべきだし、発展するものと思っています。


第一章(p1〜)いきいきと生きる:人間には根本的に成長したい、発展したいという欲求がある。私はその欲求の存在をいつも信じている。
p7:生きる意味を考え、その意味を実現しようと努力することが生きぬくことです。「夜と霧」での<意味への意志>
p10:(孔子の人生の節目に続き、8段階説の)エリクソンは、成人期以降の人格の好ましい特徴に、愛と思いやりと知恵をあげています。


第二章(p25〜)現実を生きる:成熟した人間は、出来事の表面だけでなく、その背景にある意味を考えている。
p29:現在との対決で、必要な観点 1.何が起きているか 2.どうなっているか 3.私は何をしているか 4.私は何をすべきか 5.周囲がどうなっているか 6.その周囲にどういう態度をとるか。
p33:職業人としての○○の動機 1.固有 2.対人親和 3.未来期待 4.情報 5.仕事へ の動機
p43:おれの眼に狂いはない、私の考えにまちがいはない、と思ったら、たいていは過信か誤判断と思ってまちがいがないものです。
p52:自分に自信をもち、多くの人との心の交流をすることが、幸福と健康への道だということなのです。
p53〜(困難でも立ち上がる7つの条件)1.目覚めること 2.現実の認知 3.孤独を楽しみ趣味のあることに集中 4.他人を受容し、多くの人々と親和すること 6.拡散思考(創造)をすること


第三章(p79〜)自力で生きる:自己コントロールとは、人生そのものをコントロールすることであって、「・・のためのコントロール」ではない。あなたが、他のだれのための存在でもなく、あなた自身であるように。
p113:対人魅力の条件:1.物理的距離の近さ 2.意見や態度の類似性(相手に同意) 3.好意的評価を受ける 4.相手に満足感を与える 5.自信を表現する
p123:自信をもって自己表現するための資格とは、実にこの健康な体と、健全な自信と、健全な自信と持続する努力から生まれるのです。

第四章(p125〜)幸福に生きる:生きることは、自分でものごとを考えるということ。そして、自分という存在を確認すること。
p130:(カネとモノによる経済成長に疑問が増え)一つの考え方が人間対処時代という考え方=コーピングcoping。本来は環境に積極的に働きかけることによって目的を達成するということ・・そこにいる人間、人の組織が問題視されている・・この問題を解決することによって新しい幸福をつかみうると思うのです。
p134:交流分析の理論で、人間の理想像を「勝者」と呼ぶ・・重要で思索的でよく気がつき、創造的、生産的な人間が勝者で、・・商社になるには、自覚、自発性、他人との親和の3つのこと。
p142:生きるとは、自分という存在を確認することです。そして人間が生きるということは、よく思考するという活動をさします。
p156:フランクルの「夜と霧」を紹介したあと、「希望への意志をもち、固く未来を信じて生きてきた人がいたことを思い出し、この戦争と災害の押し寄せる現代社会を、幸福への道は必ずあると信じて生きていこうではありませんか(結語)

自由と私(p157〜)体験から、年老いても心身ともに健康で生きるための六カ条
1.常に新しいことにチャレンジしよう  2.頭を使おう  3.心を使おう  4.体を使おう
5.食事(お酒も少々)を楽しもう  6.積極的に話をしよう


←心の病の方が周りに増えつつあるなかで、「夜と霧」の世界に思いをいたして、なんとかしていくしかないのだろう・・
{フォーラムから9/7借り10/1読了、記入は10/2}