- 作者: 武田徹
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/12
- メディア: 新書
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表紙にあるとおり、「公共性」を口癖のように軽々しく言葉にする人と、「ジャーナリズムかくあるべし」と説教をたれる人は、どうにも信用ならないと思っていた著者が、その二つをそろえて口にしたり身をもって示そうとしたりする組織としてNHKを取り上げ、議論している。戦前から戦後にかけての組織の成り立ちや電波監理委員会、経営委員会と歴史をたどるところも興味深く、三木鶏郎の存在とその生きざまなど知らないことも多かった。
p208:「NHKはもっと視聴者とのパイプをつくるべきだ」と今野勉は指摘する。受信料を放送局へのアクセス権の確保と考える能動的な価値観の育成、視聴者と放送局をつなぐパイプづくりを通じてマイノリティの主張を取り込む体制が確立されること、つまり「上り」の回路を確保することで、放送に多様性が盛り込まれ、NHKは本当の意味で開かれた公共放送としての使命を果たせるのだと今野は考えている。
p223:しかしネットが限られた富裕層にのみ使えるのだとしたら、ネットを超えてそうした人の存在を知らせるメディアも必要となる。そんな「上り」と「下り」の作業を行うネットの外の回路となること・・・そうした反射的均衡にいたるプロセスを展開する具体的で、広く、安い費用で利用可能な「場」になることこそ、インターネット時代の時代に必要とされる公共放送だろう。
{10/6読了、記入は14}