- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 新書
- 購入: 15人 クリック: 197回
- この商品を含むブログ (296件) を見る
章だてから見ていくと、
第一章:世界征服の目的 1.人類の絶滅 2.お金が欲しい 3.支配されそうだから逆に支配する 4.悪を広める
第二章:どんな支配者か?4つのタイプ A.魔王:正しい価値観 B.独裁者:責任感が強い C.王様:自分や贅沢大好き D:黒幕
第三章:世界征服の手順 1.目的設定 2.人材確保 3.資金の調達と設備投資 4.作戦と武装 5.部下の管理と粛清 6.その後
第四章:世界征服は可能か?:「自分だけ豊か」はありうるか?ありえない。
本筋は別として、「世界征服」を前提とした論議にけっこうはまっていくと、p139にあるように、世界征服をしたあとでできた子供というのは、概して優しくなる、それは若いころはハングリー精神だった父親もその頃にはかなり丸くなっている・・という話が、妙に説得性をもって語られ、さもありなんと思ってしまう。また、p145で指摘する、金正日は物質的に豊かであっても、満たされていない:それは、面白いものや贅沢なもの、楽しいものというのも、なるほどと感じる。
最後の方で、世界を征服して富を寡占しても、意味がなくなってしまった現在の状況については、なるほどと思う。一方で、結論としての導き方=経済と情報の自由化を否定→ネット社会の否定(p179)、には、ちょっと飛びすぎではないかなとも感じました。
p181:本やネットの情報よりも、身近な目上の人つまり親や先生や上司の言うことを信じて行動する社会。知識や知性でなく良識や教養を重んずること。これこそが現代の世界征服の論理です。
p182:現代の悪とは、大衆社会・情報社会に反対するものになる。
ラストに、現状を否定する人が世界征服をめざすとして、人に優しく、お年寄りを大切に、など提案するのは、逆説的に書くことで本質をえぐろうとしているのだろうけど・・・
{図書館から9/5借り10読了、記入は14}