読書録

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『父親のすすめ』 日垣隆 著

父親のすすめ (文春新書)

父親のすすめ (文春新書)

とても実践的な父親論。農業高校に進んだ著者の子どもたちが、農業をしたいと書いている小論文などを読むと、こういう育て方ができた著者の論には、なるほどと感心するところが多い。生活実感がないのに大上段に振りかぶって論ずる田原総一郎を批判して、「口先だけの大人にしない」と断ずるのは、熱くなりやすい著者らしさも出ているということか。小論文試験では体験を書き込む必要があり、そのためにも豊かな体験をさせるということは、どこの入門書にも書いていないというのではなく、ある意味では常識のような気もするが・・。一方、さりげなく「ヘーゲルの自由とは必然性の洞察」ということから哲学の歴史を引用するあたりは、うまい書き方をしている。

食事中にテレビをみないとか、文章力を高めるためにブログを書かせる、判断力をつけさせるため毎日図書館から本を借りさせるなど、いろんな実践してきた手法を紹介しているが、基本としているのは、以下引用で:

「親の務めは、子どもを自立させることです。・・内面的な自立とは、みずから責任を負うべきことを他人のせいにしないということであり、形式的な自立とは、親を必要としなくなる状態です。p15」

「私にとってのしつけとは、礼儀のことではなく、責任をとれるようにするということと、羞恥心を覚えさせていくことですp26」

「最悪の事態とは、子どもが殺されることと、子どもが人を殺すということです。p34」

「社会に出て仕事を進めて行くとき、最も肝心な能力は、異なった世代や異なった分野の人たちと手ぬかりなくコミュニケーションを図る力です。p37」

「子育ての眼目の一つは、成功体験をどれだけ与えるか、にあると言っていいでしょう。p162」

相対化が重要で「かけがえのない親であり子であると知る関係性が、何においても子育てには肝要です。p176」

「現代では、今に見ていろ と子どもが思うことほど重要な処世はほかに見当たらないのではないでしょうか。潰さず、暴走させず、そのあたりの手加減が、親業の難しく楽しいところです。p179」

「究極の目標は、・・『この親をクリアできたらどこまでも通用する』ですp186」

食事をしながらテレビ(ニュース)を見るのは、僕は子どもとの会話や社会について考えるうえで良いかなとも思っているのだが、だめなんだろうか・・というところがひっかかる。またこの件をめぐって夫婦で対立するのを子どもが見ることも、本当は避けた方が良いのだろうけど、なかなか難しい。

{フォーラムで7/27借り8/13読了、記入は16}