読書録

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『子どもの「心の病」を知る』 岡田尊司 著

子どもの「心の病」を知る

子どもの「心の病」を知る

作家でもある精神科医で、京都医療少年院に務める著者が、子どもの心の病について、網羅的に詳しく紹介している。具体例や人物も交えながら、素人にもわかりやすい内容となっているが、多岐にわたっているだけに、さまざまな症状とその差異については、なかなか理解するのが難しい面もあった。

言えるのは、幼児・児童期の幼いころに十分な愛情を持って接していないと、生涯にわたって重大な影響を及ぼすこと(p28)で、今のところ、わが子のこの時期については、本にあるような症状はなく、なんとか乗り越えてきているようにも思う。

思春期に入った子どもに対し、著者は、「子どもが親の方針や考え方に異を唱え始めたとき、親は裏切られたと思って、慌てたり腹を立ててはいけない。・・むしろ親と違う意見を持てるようになったことを喜ぶべきである。ようやく自分自身になろうとしているのだと祝福してやるべきだ。・・主体性は尊重するが、責任と負担は本人に負わせるというのが原則である。」(p123〜p124)

また、子どもというわけではなく、境界性パーソナリティ障害(p147)や、強迫性障害(p242)については、知り合いにもいて、前者につては、著者の別の本をかつて読み、優しさと厳しさの両方が必要であると知り、結局、突き放してしまう形になったが、対応はかなり難しい。

さらに、うつ病については、身近に何人もいるので、この本から参考になる点→中年の場合は、几帳面で、仕事熱心で、凝り性で、秩序や規範を重んじ、責任感が強いという病前性格傾向があり(p263)、支持的精神療法では、本人の気持ちや苦しさを受け止め、共感し、支えを与える一方、認知療法では、本人の否定的で融通のきかない物事の受け止め方を修正することで苦痛を緩和すると同時に、回復した市肯定的で柔軟な考え方をすることで再びうつに陥ることを防ごうとする。(p267)

著者の「おわりに」(p337〜339)には、生き方についてのエッセンスがつまっている。

困難に出合ったときは、いったん立ち止まって休むことも必要で、心の縛りをいったん解いてやれば、余裕を取り戻していく。
「人生は決して一つの尺度だけで測られるものではない。もっと自由に生きていいのだ」
そして時がきたら、失敗や挫折を恐れずにチャレンジし、試行錯誤を続ける中で、新しい発見に出会い、限界に気づくかも知れないが、可能性や長所を見つけることもある。
「降りかかってくる問題は、飛躍のための試練なのである」
問題があるから成長していけるのであって、病気や挫折を経験したがゆえに得られるものも大きく、人は驚くほど大きな回復力と順応力を持っている。
「失われたものに囚われつづけるよりも、新しい世界に目を向けることが、希望とを取り戻す近道なのである」。

{図書館から8/7借り14読了、記入は16}