読書録

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親子就活

親子就活 親の悩み、子どものホンネ (アスキー新書)

親子就活 親の悩み、子どものホンネ (アスキー新書)

著者はほぼ同世代。当時の就活について書かれている部分については懐かしく読んだが、今の厳しさについては、親としてどうしたら良いのかと、困ってしまう。

p5:終身雇用・年功序列型の人事管理を成果報酬型・実力主義へと切り替え、同時に中途採用・新卒採用の垣根を取り払い、さらに契約社員・パートタイマー・派遣社員など非正規採用者を含めた流動的な人事管理に軸足を移した。

こうした状況変化のなかで、採用はより少数になり、エントリーシートで厳選され、期間が長くなり、面接が繰り返され、第二新卒という中途採用も増えてきた。これらは、バブル崩壊による雇用環境の変化と景気低迷だけでなく、いい大学に入れば良い会社に就職できて幸せな人生が過ごせるというモノサシ自体が完全に崩壊してしまっている問題がある。さらに企業が新人社員に求める能力の不動の一位が、「コミュニケーション能力」なのだそうだが、こうした力をどうつけるのか、どこまで個性的なことをアピールできるのか、悩ましい。

では、親はいったいどうしたらよいのか。著者は、「親が出しゃばれば子どもが引っ込む(p148)」として、愛情の過剰摂取は、自分で努力する気持ちを弱体化させる危険がはらんでいると述べる一方で、「好きなことをやりなさい」というのは無責任(p164)ともいう。確かに、目標や夢が持ちにくくなっている現代、著者は次のように提案する。

p168:子どもの本音を理解してやるということだ。夢も希望も疑問も不安も全部ひっくるめて、ちゃんと受け止めてやるということだ。つい口出ししたくなる、手を出したくなるということが多いと思うが、それを我慢し、「どうしたいのか」をとことん聞いてやることだ。それがなければ、考えさせることだ。つい言いたくなる「好きにしたらいい」という言葉を封印し、子どもの「どうしたらいいか」に耳を傾け、それが曖昧なら、いっしょに考えてやることだ。

著者はまた、企業では管理職が部下を育てる際、あえて厳しく高いハードルを与え、自分で乗り越えさせて成功体験を積ませることが王道としたうえで、自分の子どもにも同じように接したらどうかと提案している。まさにそれが理想のような気がするが、男の子の場合、口を聞くことさえ少なくなるだろうから、さてどうしたものか。


就職協定廃止で早期化が繰り返されr中で、最近再び見直し論議が報じられているが、いずれにせよ厳しい就職活動には変りなく、本著に書かれていることも参考に、見守っていこう。

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