読書録

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『凡人として生きるということ』 押井守 著

凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

著者の映画を見たことはないが、今回、ベネチア映画祭に「スカイ・クロラ」がノミネートされたというニュースを見て、たまたま駅のリサイクルコーナーにあったこの本をみつけて読む。


率直なところは、「凡人として」といいつつ、押井監督が凡人ではなく、勝負は失敗してもよいから諦めないという強い力を持ち、だからこそ映画の枠を超えて、発言しようとしているのだと感じた。また、映画の公開にあわせて本が出版されるあたり、話題づくりとしても成功しているのだろう。自分の好きなことをしつつ、現実を見つめ、社会とおりあいをつけることで、今の地位を築いたという押井監督の生き方は、なかなか素敵だ。「損得勘定で動く自分を責めてはいけない、しょせん人間は損得でしか動けないものだ。無償の友情とか、そんな幻想に振り回されてはいけない。そうすれば、この世界はもう少し生きやすくなる。(p134)」というのは、その真骨頂か。友人などとの人間関係で悩むことも確かに軽減されそうだ。


若さには価値がなく、おやじになってズルく生きることがカッコイイ。引きこもっていてもいいし、アキハバラのオタクたちが経済を動かしている。もっと斜にかまえていい加減に生きよう、という帯で紹介している「押井美学」は、目からウロコというより、今の時代にあった生き方なのだろうとも思う。映画を見てみたいものだ・・・早くwowwowでやらないかなあ・・・。


この本から一言:p49
「この社会では他人の人生と関わり、他人の人生を背負い込むことぐらいに楽しいことはない。それは恋愛でも、結婚でも、就職でも、起業でも、同じことである。逆に言うと、誰からも必要とされない人間ほど寂しいことはない。人は誰かから必要とされて、本当に生の喜びにひたれる。」

(8/11読了で記入は16)