読書録

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『ダメな議論』 飯田泰之 著

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

様々な言説からダメな議論を見抜くためのチェックポイントとして、著者は、1.定義の誤解・失敗はないか 2.無内容または反証不可能な言説 3.難解な理論の不安定な結論 4.単純なデータ観察で否定されないか 5.比喩と例話に支えられた主張 の5つをあげ、論理思考によって真に有用な情報を手にするための知的技法を紹介するとしている。
具体的な実例として、ニート問題や、財政赤字、平成不況まで、幅広くとりあげているが、読後感として、なるほどと思う部分がある一方で、逆にこうした実例への有用な議論については示されていないだけに、消化不良もおこす。とりわけ、チェックポイントの「定義」については、ディベートで相手の議論をつぶすときに用いる手法ということをかなり昔に聞いた覚えがあるが、厳密にやっていけば、有用な議論というのは、すべて学術的論文になって、わかりにくくなるような気もした。以下、引用。

p16:コールドリーディング(元来は占いなど)という説得術のステップ:1.ラポール(気が合う)を築く 2.ストックスピール(誰にでもあてはまる質問)で信頼を高める 3.悩みのカテゴリを探る 4.悩みの核心に迫る 5.未来の出来事を予言する
p36:あらゆる分野の評論家は、分析型、風見鶏型、万年強気型、万年弱気型 の4類型で分類できる。
p87:「本当の××はそんなものではない」という論法は何にでも使える便利な批判の方法
p93:私の基本姿勢は 1.問題を適切に分割し 2.個々のターム(用語)の定義を明確にし 3.パートごとにデータによる検証を行う

{図書館で3/31借り4/28読了、同日記入}