読書録

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『人間力の育て方』 堀田力 著

「人間力」の育て方 (集英社新書 417E)

「人間力」の育て方 (集英社新書 417E)

ゆとり教育から学力重視へ政府の教育政策が再び舵を切る中、著者は、その方向が間違っていると主張して、この本を書く。ちょうど息子がゆとり教育にどっぷりつかり、総合学習などを受けてきたが、中学になり現実に受験などを前にすると、周りの環境をみてゆとりだけではだめではないかと思ってしまう。しかし、著者がいう「人間力」は大切だ。フィンランドが世界比較で学力トップ級であるように、同じような教育ができないものかと思うが、どうやったらそうなるのだろう。この問題はとても難しいが、経済的に苦労することなく、やりたい仕事をして、みなに役立っていると満足感が得られるように育ってほしいと思うが、今の受験環境では難しいのだろうか・・以下引用。

p25:平等を強調するあまり機会の平等だけでなく結果まで同じにしようとしたところに戦後から続く教育の間違いがあった。
p34:みんな同じにする教育が、したいことをさせないことによって子どもたちの気力を奪っていくとすれば、エリート教育はみんなを競争させてしたくないことを無理やりさせることによって、子どもたちの気力を奪っていくのです。どちらもよくない教育です。両方の欠点をなくす教育は「したいことをさせる教育」です。
p41:かつてあったあたたかい人間関係は消えて行きました。夫が企業社会に取り込まれ、子どもが受験戦争に巻き込まれ、家族とともに食事をとる機会が減っていきました。あたたかさが失われると、恒常的な欠乏感を持ちます。
p47:★これから求められるのは人間力:成熟の時代には、自分の頭で考え、自分で目標を実現できる行動力のある人。1.生きることが楽しく、活気にあふれ、難しい課題に出合ってもこれに前向きに取り組む、自助の意欲と行動力にあふれた人 2.自分で目標を立てることができる人 3.目の前の状況を自分の目で正しく認識し、前進するために何が問題かを把握できる人 4.人を大切にし、その気持ちを理解し、助け合う共助の意欲にあふれた人★(教育再生民会会議提言07/06/22)
p55〜困った若者7人衆:1.指示待ち 2.責任回避 3.アラ探し 4.自己中心 5.付和雷同 6.虚無 7.連絡待ち 各人間
p62〜新しい非行タイプ:1.限界型 2.自己否定型 3.依存型 4.引きこもり型
p76:きょうだいや仲間が群れる環境に代えて、近隣の仲間たちが群れ遊ぶ環境を早急に作り出し、子どもたちの人間力をそこで自発的にのびのびと伸ばしていかなければなりません。
p119:北欧の教育の基本理念は「平和、民主、人権、共生教育の徹底」
p129:総合的な学習の狙いは「21世紀を切り開く」でテーマはいくつも。週26時間でうち11時間が総合的な学習の場合も。
p136:日本の教育の第一の問題は、教育を受けて社会に出てきた若者たちに元気がないこと、第二の問題は自信がないこと。
p148:幸せになれる基本的な要素は、自分がしたいことがどれだけやれるかです。地位やお金は、それが自分のやりたいことに役立って初めて意味をもってきます。・・子供に望まない知識教育を強制すると、子どもがキレてしまって無気力になったり、反抗して非行に走ったりします。★こどもは、その子らしく育ち、経済的に自立して自分の望む人生に力強く挑戦してくれるのが一番です。★
p159:いじめをなくす抜本策は、「子どもたちみんなが個性を認め合い、存在を認め合う」ということ、個性を尊重する教育。
p184:子育ての基本の基本は、その子どもの存在感を肯定すること。子育ては子どもを自立させるために行い、教育は子どもの人間力を育てるために行う・・基本条件は子どもの自尊感情、私の言葉では「自己存在の肯定」。
p186:森下純子『ママでなくてよかったよ』比良出版より引用、8歳で亡くなった森下重信君の手術後の言葉からやさしい心について。

{フォーラムで4/5借り8読了、記入は16}