読書録

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『職場砂漠』/岸宣仁

職場砂漠 働きすぎの時代の悲劇 (朝日新書 58)

職場砂漠 働きすぎの時代の悲劇 (朝日新書 58)

「働き方」コーナーからこれも借りたが、実体験に照らし合わせて、「成果主義」の導入によって、上司の力が強くなり、精神面、給与面ともに、職場環境が悪化しているという実感はある。この本に紹介されているケースは、おそらく氷山の一角であろう。なんとか心の病にならずに持ちこたえていきたいものだ。以下引用。

p4:シンポ主催者の言葉で、「年間3万人の自殺者の背後に約10倍の自殺未遂者、その背後に5〜6倍、150万人から180万人にものぼる家族や友人が心に深い傷を負っている、自殺防止に向けた提言をまとめたい」という。
p37:93年に、電通長時間労働によるうつ病は、96年に東京地裁が1億2560万円の損害賠償を命じた
p47:辞職を決意させたのは、義父死亡の連絡をして「(葬儀で休める)有給休暇は3日しかないから」という一言←同じようなことを言われた経験あり・・
p51:厚生労働省の労働者健康状況調査(2002)によると、職場のストレス(61.5%ある)のトップは、人間関係の悩み(35.1%)。次いで仕事の量、質、会社の将来性。
p52:パワハラが注目されるようになったことについて、成果主義の浸透をあげる声が多い。目標管理制度を導入している場合、これが上司に「いじめ」の誘因を与えている可能性がある。
p130:成果主義労務担当重役も9割が問題あり:2004年に富士通成果主義の崩壊がベストセラーになて以来批判が噴出。「高い目標に挑まない」「チームワークがない」「社員が後輩に仕事を教えない」など。労務行政研究所の調査で労務担当も88.2%が問題。具体的には、評価/目標管理制度が93.3%、社員のモチベーション関連46.7%。目標管理制度では、上司に不当に低く評価されたり、高い目標を押しつけられたりした社員に不満がたまりやすい。
p194:新モダンタイムス・・「部品にしかすぎない」ITを軸とした技術革新で、オフィスが工場のライン生産と同じになった。
p204:上司のいじめ、M&Aによるリストラへの恐怖、サービス残業を繰り返したうえでの働きすぎ、忍び寄る格差拡大。職場環境はこれからも人間疎外への方向へと変化し続けるのは間違いない。
p207:弁護団の清水さんの言葉「元凶は、やはり成果主義と非正規雇用。勝ち組になるために、労働者を可能な限りやすく、効率的に使おうとしている。
p211:いじめから立ち直った人のアドバイス 1.信頼している人物にためらわずに相談 2.おかしいと思ったら専門医にかかる 3.最終的には失敗を恐れず会社を辞める決断を下す 4.散歩やスポーツなどできるだけ体を動かす。
p215:企業はセーフティネットの整備を進め、サラリーマンは自分の人生をもつように心がけ、労組が新しい役割に気づく。それぞれの努力が必要。

{図書館で1/25借り2/12読了、2/22記入}