読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

カシオペアの丘で(下)/重松清

カシオペアの丘で(下)

カシオペアの丘で(下)

読んでいたら夢中になって、29日の午前3時まで、久し振りに夜更かしをしてしまった・・・自分がシュンの立場になって、余命わずかといわれたら、どう生きるのだろうか?最後は、許し許されるのだろうか?

p27:「人間ってさ、人生をやり直すことはできなくても、楽しかった頃に戻ることぐらいはできるよ、絶対に」(ミッチョの言葉)
p39:優しい子だったね。・・シュンをこれ以上困らせるのがかわいそうだから、出て行ってくれたんだよ(ミッチョの流産)
p120:「納得してなにかをするだけじゃないですよね、人間って、人生って、違いますか?納得とか正しさとかって、大事だけど、それがぜんぶじゃないですよねえ、そう思いませんか?」(川原さんの言葉)
p133:向き合ってよーとは言わない。絶対に。うつむいてしまうこと。背中を向けてしまうこと。避けて通ってしまうこと。黙り込んでしまうこと。忘れたふりをしてしまうこと。そんな、ひとの心の弱さを、私は認める。
p202:昔のCDセットをかって、おれの青春の思い出、子供に聞かせる男の人・・
p220:命の星が、いくつも夜空に輝いている。もうすぐ終わってしまう命がある。それを見送る命がある。断ち切られた命がある。さまよう命がある。悔み続ける命がある。重い荷物を背負った命がある。静かに消えた命もある。その命が消えたあとの暗闇をじっとみつめてきた命がある。そこから目をそらしてしまった命もある。身を寄せ合う命もある。孤独な命もある。満たされた命はない。どの命も傷つき、削られて、それでも夜空に星は光り続ける。
226:誰かを本気で好きになると、そのひとのすべてが欲しくなる。心も、体も、未来も、いまも、過去も。そうだろう?心を独り占めしたいから嫉妬する。体と体をひとつにつなげたいからセックスをする。未来がほしいから結婚をする。いまの、この瞬間も離れたくないから、ひとつ屋根の下で暮らす。でもー過去はどうすればいい?
p254:欲情はしない。高ぶりも感じない。ただ、つながりたい、と願った。ひとつになって、溶けてしまって、恵理の体の中でずっと生きていたい。
p301:「神さまって、人生を一度しかやらせてくれないかわりに、誰のどんな人生にも意味があるようにしてくれたのかもね」
p309:ひとを一度も傷つけることなく、誰かに一度も悲しい思いをさせることのない人生は、この世にあるのだろうか。わたしにはわからない。誰からも傷つけられたことがなく、悲しい思いを一度もしたことがない人生はーよかったね、とは思うけれど、幸せだったね、と言えるのかどうか、わからない。

{地区cで10/20借り28読了}