- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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夜通し歩くという体験はしたことがないけれど、修学旅行で夜中に、誰をどう思う、つきあいはどうかなど、語り合ったことを思い出しました。
p398:「近づきたがっている、理解しあいたがってる。そんな気がしたんだ」
p414:並んで一緒に歩く。ただそれだけのことなのに、不思議だね。たったそれだけのことがこんなに難しくて、こんなに凄いことだったなんて。
池上冬樹さんの解説より、
・主人公は、高校生活最後のイベントになる高校3年の男女、西脇融(とおる)と甲田貴子(こうだ・たかこ)。仲がうわさされながら実は一言も口をきいたことがない二人の因縁を徐々に明らかにしながら、貴子が自分に課した密かな賭けの行方を追う。
・全編、高校生たちがひたすら歩くだけ、事件らしい事件は何もおきないが、人物たちの内面では確実に何かが変わっていく。
・何よりも素晴らしいのは、さまざまな小さなエピソード(誰もが思い当たるようなことm身につまされるようなエピソード)の一つ一つから真実、人間のもつ優しさや寛大さや怒り、あるいは湯情の本質といったものを探り当てていることだろう・・・それぞれが許すことの喜び、生きることの楽しさを改めてかみしめるのである。
・そのかみしめる行為は、実は読者自身にも及ぶ。人物たちに感情移入し、僕らは静かに郷愁を覚えるのである・・過去に経験したかのような感触を覚えてしまう。
・懐かしくて、切なくて、もう最初から最後までわくわくしてしまう。生きていあることがうれしくて、誰かに感謝したくなるような高揚感がひしひしと湧き上がってくる。
{図書館で10/12借り16読了}