読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『ブラックウェルに憧れて』 南 杏子 著

・本著では、何カ所か涙ぐんだ。感動した。女性の現実、ことば、芝公園や札所などなじみの風景、白菊会の献体については、実際に献体した祖母のことを思い出した。
・近年発覚した医学部不正入試問題と根深い女性への偏見・問題を、前向きになれるエンディングでまとめていたことに感服した。
・ブラックウェルの言葉が各章で登場、これまで知らず、生き方も知って感銘を受けた。p250,261
「もし社会が女性の自由な成長を認めないのなら、社会の方が変わるべきなのです」

発刊した光文社のサイト↓

www.kobunsha.com

 印象に残った部分など以下に引用↓
 医大の解剖学実習で組まれたのは、異例ともいえる女性4人だけの班だった。
城之内泰子教授の指導の下、優秀な成績で卒業した彼女たちは、真摯に医療の道を歩む。(サイトより)
 
第二章 アイ・スペシャリスト 長谷川仁美(ひとみ)
・高いオペ技術を持つ眼科医。けれど医局での出世すらできない現実に突き当たる。
p41:仕事仲間になるとは、男の仲間になるということだった。
p54:「ものもらい!」「お姫さん!」かつて診療した男性と出会う
 
第三章 フリーランス 坂東早紀(さき)・循環器内科医だったが、認知症の父親のためにフリーランスの健診医となる。
p103:「俺も悲しいんだよ。すごく心配なんだ。おじいちゃんは、俺にとっては父親だから」・・生命工学研究室でマウスの観察を続けながら、自分の研究が将来の医薬品開発につながるのを願っていること★(認知症の父を孫がそっと見守っていた)
 
第四章 エスコート・ドクター 椎名涼子(りょうこ)・救命救急医。夫との不仲に悩む折、エスコート・ドクターの依頼が舞い込む。
p147:四国八十八ヶ所巡りの第十九番札所 立江寺(たつえじ) →は実在・・榎戸に焼き味噌、著者の出身地、徳島つながり
p186:「これ、道草ですね」
 
第五章 NICUチーフ 安蘭(あらん)恵子(けいこ)・新生児科医であり、一児の母。勤務中、突然身体に異変が生じて……。
p215:(一度は秘匿された事実の開示)「すべてのことを先生がお話くださって、むしろこの病院は信頼できると思いました。次の子も、こちらでお世話になりたいと思っています」★
 
第六章 解剖学教室教授 城之内泰子(じょうのうち・やすこ)
p232:脳の性差は存在しない
p233:最終講義「男性医師たちよ、どうぞ偽りなく誠実に、そして親愛なる女性医師たちよ、勇敢であれ!」 
p239:「あなたたちがいる場所で、どんな医師がいればいいのか。それは自分で見つけていくしかない。そのとき思い返してほしいの。患者の役に立つ人が医師なのだ、ということを」
・2018年に発覚した日本の複数の大学の医学部が、女子や浪人生を不利に扱う、特定の受験生を優遇する、といった不正入試を行っていた問題
・本著の背景には医療現場、女性の働き方への疑問など、さまざま今の課題が触れられている。
・それにしても、著者のプロフィールは、以下で触れたが、生き方としても素晴しいと思う。

mrboopapa.hatenablog.com

・これを書いている一週間前に、総選挙の投開票が終わったが、女性議員の割合は相変わらず少ないまま・・社会がよりよくなるため、著者のますますの活躍を期待したい。

{2021/10/28木-29土:読了、記入は11/7日}