読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『マチネの終わりに』 平野啓一郎 著

  今回、初めて著者の作品に触れた。最初ペースがつかめるまではどうなることかと思ったが、展開するストーリーと人間模様に、幾度となく涙が流れ、感動した。恋愛だけでなく、故後藤健二氏の取材もふまえ、国際的な背景にも触れているのもなかなかな手法だ。
 また、巻末にも紹介がある無料のメールレターを出していたり、ネットでの交流も試みるなど、TVでの出演は拝見していたが、いまのデジタル時代も意識した展開をしていたのだとようやく気付くことができた。 

マチネの終わりに

マチネの終わりに

 

 

  ◇発刊した毎日新聞出版の特設サイトに、推薦の声やあらすじあり↓

k-hirano.com

・映画の公開も予定され、書店には文庫本が並ぶようになっているが、この特設サイトに、小峰洋子役の女優・石田ゆり子さんが、「こんなふうに人を愛せたら。そう思わずにはいられなかった。五感すべてを使って、噛みしめるように読んだ。この物語の中に、浸っていたい。こんな恋愛小説は、はじめて」と書いていて、どのような演技を見せるか楽しみだ。いま、このタイトルで検索すると、出てくるのは映画の方が上だ↓

www.toho.co.jp

・この映画宣伝サイトの冒頭コピーは、

「たった三度会ったあなたが、
  誰よりも深く愛した人だった―」で、p399の「たった3度しか会ったことがなく、しかも、人生で最も深く愛した人」という文言が、自分でも付箋をはって一番印象に残った言葉だった。

 なぜか、『マディソン郡の橋』を読んだときの思いに近いものを感じた。人の出会いとは不思議なもの。

 

◇著者と交流できるメールレター登録先

hiranokeiichiro.web.fc2.com

◇著者の公式サイト

k-hirano.com

 

 印象に残ったエピソードの一つが、キリスト教のマルタとマリアの姉妹の話p330~で、三谷早苗が洋子に、イエスに尽くすマルタが、話を聞くだけのマリアにも手伝うよう訴えたらマリアが正しいと言われ・・・で、洋子にどちらがと聞くところが、二人の生き方、考え方の差にもつながり、考えさせられた。

 ネットについても、蒔野の悪口を匿名でブログで書いていたのが所属する社員の岡島だったとばれたりp341、洋子がブログでバッシングされた蒔野を擁護したりp385、さまざまな形で出てくるのが、いまをうまく取り込んでいると思った。

 

 映画も是非みたい。著者の別の作品にも触れてみたい。

 

 最後に、洋子の父、ソリッチ監督の一言を引用して終えたい。p367

「事実は、事実としてある。情報の真相を確かめるというのは、今の世界では最も価値のある仕事だろう。報道の虚偽や偏向は、国の運命も、人間の運命も破壊的に変えてしまう。・・・(中略)・・・
だからこそ、真相を決して知られたくないという人間たちもいる。彼らは、手段を選ばない・・」

 

 

{2019/10/16-29読了、記入は11/3(日)文化の日}