読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『家族という呪い』 阿部恭子 著

 

家族という呪い (加害者と暮らし続けるということ)

家族という呪い (加害者と暮らし続けるということ)

 

  家庭を持ち、「家族のため」に生きることが幸せという風潮もある中で、本書では逆に、家族が犯罪を犯したことで不幸になるケースを、これでもかというぐらい、たくさんとりあげ、その実情を紹介している。

 加害者家族を支援するNPO法人の活動を通じた証言は、いったいどうすればいいのだろうと考えさせられる。とりわけ性犯罪の常習者については、抜本的に再犯防止の取り組みを進めていく方がよいのだろうと思う。

 

 発刊した幻冬舎のサイト↓

www.gentosha.co.jp

 今後の参考に、いくつか備忘録として以下にメモ。

▽伝統的な家族像の弊害p76~77:一千組以上相談を受けた中で、最も多いのは両親と兄弟のいる中流家庭で、「普通の家族」・・「世間体を重視する人々」で、「自由な考えを持っていれば、犯罪まで発展しなかったのではないか」・・普通という要件を満たすことができない事情が生じたとき、人々を追いつめることになる。

▽面倒を見ることによる支配p130-131:相手を自分に依存させることによって支配することを「共依存」と言い・・・問題行動を助長する結果を招きます。

▽家族関係が密であることが、必ずしも関係が良好であるとは言えないp190・・他人の前なら我慢できることもでも、本音が出てしまったり、感情が爆発してしまうのが家庭

▽人に迷惑をかけてはいけないのかp206-207:加害者家族の親たちは、子どもを甘やかした人より、むしろ厳しく育てた人の方が多い。
→『反省させると犯罪者になります』 岡本茂樹 著 新潮選書2013年 原点までさかのぼり否定的な感情を受け入れていくことこそ更生につながるp208-209

▽男らしさからの解放p216-218:男性弱者が堂々と弱さや傷ついた経験を語ることができる社会になれば、女性もより生きやすくなるはずです・・誰かが犠牲になっている関係は、いつか破綻します。・・差別とは個人の否定だと考え、男性解放運動が起こることを期待。

 

 本書の副題は「加害者と暮らし続けるということ」。いろいろあったけど、心穏やかに、より自由な発想で、過ごしていきたいものだ。

 

{2019/4/20-23読了、記入は4/28(日)}