読書録

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AV出演を強要された彼女たち ちくま新書 1225

 “アダルトビデオ出演強要”が大きく報道されるようになったのは、本著によると、2015年9月に、出演を拒否した女性を所属プロダクションが2460万円の損害賠償請求を訴え、東京地裁で棄却されて敗訴になってからとのこと。

 本著で紹介されている具体的な5つの事例のうち、Cさんの民事訴訟をめぐるケースの判決では、「本人の意思に反して従事させることが許されない性質のものである。したがって、民法第628条により、契約を解除する「やむを得ない事由」に当たる。出演しなかったことは債務不履行にあたらない」(p84)とされたという。Cさんは、AV、違約金という用語で検索していて、PAPSのHPに辿り着いたとのこと(p70)。またEさんの場合は、メールのたびに的確に返事がきたことで信頼する気になったとのことで(p110)、最初のメールで「自分を責めないで。相談することができた自分を褒めてあげて」救われた思いがしたという。


 著者がこの本を書くきっかけになった「AV被害者相談支援事業」の事業母体は、以下の二つの団体。
『ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)』(2009年〜)
https://paps-jp.org/ (表示されないことも?)
ツイッターhttps://twitter.com/papsjp
NPO法人 人身取引被害者サポートセンター ライトハウス(LH)』(2004年〜)
http://lhj.jp/
ヒューマンライツ・ナウの事例「ポルノアダルトビデオ産業が生み出す、女性・少女に対する人権侵害、調査報告書」
 
発刊した筑摩書房のサイト⇒ http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480069344/
「はじめに」部分(ちくまwebで公開)⇒ http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480069344/

 
 備忘録として引用を以下に
▽(引き込まれていく共通のプロセス)は、タレントになれる、高収入が得られるなどの言葉に惹かれてスカウトマンの勧誘にのり、その場で、あるいは連れていかれたプロダクションで、契約書にサインするなり、なにがしかの借金を背負わされるなりして、制作プロセスにいやおうなく組み込まれてしまう(p122)

▽スカウトの手口で、「ヘアモデルにならない?」が、髪のモデルと勘違いさせて・・・p146

▽辞められない理由は、脅されているからであり、身バレと契約の問題p153

▽女性達に共通す性格神特性
1)未熟で社会性がない、2)気が弱くなかなか嫌とは言えない、3)生真面目で律儀(p160)

▽PAPSへの相談は2012年からで、2016年8月末まで集計で218件、うち164件がアダルトビデオ関連で内容は
1)AV回収・販売停止・削除ー77、
2)騙されて出演-70、
3)意に反した発売-55、
4)AVをやめたい-35、
5)違約金問題-33 (複数回答p178)

▽ネットに流れたデータは完全に削除できず、相談も多いが根本的な解決方法はないp220
+相談を寄せる女性たちは、自分たちの映像をこの世から消してほしいと切実に願っているp235


 著者の団体をネットで知って救われた方々がいるとのこと、意に反した出演強要はあってはならない。


{17/4/16-19読了、記入は19深夜、20日}