- 作者: 小泉直樹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/09/18
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
2002年に成立した知的財産法の基本について、概括的に解説している。
テクノロジーやブランド、デザイン、エンタテイメントなど各分野についてp12〜p13に図表があるのだが、この法律が基本法であり、具体的な手続きが、特許法、著作権法、商標法、意匠法など別々の法律で定められていることから、大まかに分かればいいのか、細部では判断がまだ判断がついていないところもあるようで、なかなか難しい。
p11:知的財産の定義
「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの」
「商標、商号、その他の事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの」
「営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」
p30:TRIPs(トリップス)協定の成立(1994年)←WTO加盟国の知的保護のスタンダードを定める国際条約
p131:「カラオケ法理」最高裁判例は、他人のよる著作物の利用行為を「管理」し、「利益」を得ている者に対して、訴えは可能である、という基準を示しています。
p162:報道、批評、研究といった目的で、他人の著作物を引いて論評を加えることはしばしばあります。引用という形での利用行為は社会通念としても許されるべきでるという了解があり、著作権法でも、権利者にことわらずに行ってよいことになっています。
p168:公益的な理由による制限→新聞雑誌に掲載された時事問題に関する論説、政治上の演説を利用することについても、著作権の同意をとる必要はありません。
p171:日本版フェアユース導入論の背景→著作物を自由に利用できる場合を事前に明確に規定しておくのではなく、たとえば「著作権者の利益を不当に害しない利用は自由である」といった包括的、一般的な規程を置き、具体的な線引きは、裁判所の判断に委ねるというものです。
p191:憲法と知財法→たとえば、著作権法上、アイデアが保護対象外とされていることにより、既存の著作物を利用した自由な創作活動が促進され、ひいては表現の自由が守られています。同様に、引用を許容する規程も、まさに既存の著作物への批評等の行為を自由とすることで、表現の自由を下支えるつものといえます。
この日記も、”引用”という認識で書き続けているわけだが、論評が弱いと感じる部分は自分でもあり、ネット社会における知的財産のあり方については、より勉強を進めていかなければならないと思う。
{11/03記入}