読書録

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書籍文化の未来

書籍文化の未来――電子本か印刷本か (岩波ブックレット)

書籍文化の未来――電子本か印刷本か (岩波ブックレット)

副題にある電子本と印刷本、今後どうなっていくのか探ろうと手に取るが、結論としては、双方の利点・欠点を補いながら共存するということなのか。世界の出版大手の動向などはこれまで知らなかったので、データとしては興味深かった。わかりやすさからいうと、もうひと工夫が欲しいという印象も受けた。
それにしても著者は1932年生まれとあり、80歳を超えて、この分野で新しい知を取り込んで紹介していこうという姿勢には、驚きを覚えた。


(目次ー引用)
1 フランクフルト書籍見本市にて;
アメリカの出版ビッグシックス
 1.ランダムハウス←独のベルテルスマンが1998買収
 2.ペンギン←英のピアソン
 3.ハーパーコリンズ←豪出身マードックのニュース・コーポレーション
 4.サイモン・アンド・シェスター←CBSテレビ:買収のうわさあり
 5.アシェットUSA←仏のアシェット
 6.マクミラン←ドイツのホルツブリンク
◇大幅な増収増益の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレー』という「イラチカerotica」4000万部だが、性行為に重きを置いたロマンスで見本市での評判は微妙だった
著作権産業全体の輸出額のうち、ほとんどはソフトウェアで書籍は2%
◇日本は知的停滞どころか知的後退の兆しでは


2 ゆきわたる電子化の渦のなかで;
◇電子白板がフランスで成功+アメリカのムックス(公開オンライン授業)人気で教育における電子化進む
←電子的手段によって協働的学習の環境が形成され、参加できるからp34
←観点をかえれば、教師による生徒の監視もでき、一つ間違えば、オーウェルの『1984


3 生き残る書店と出版社のために;
◇ミリオンセラーは入念な準備で、予告、抜粋の配布、有名人の推薦の言葉、他メディアとのタイアップなど、発売と同時に評判を呼ぶように仕向け、書店の平台に積み上げ、人気が続く限度の6週間以内に100万部を売る。
◇印刷本を続けるために、1.著作権、2.著作隣接権、3.電子本にも再販制度、4.在庫書籍に免税


4 印刷本と電子本の対決か共存か;
◇2009年7月にオーウェルの『1984』と『動物農場』がアマゾンから消える⇒著作権の問題が発覚したため
◇印刷本のページめくりは読書で大切な働きあり+視認性が高く疲れにくい、余白にも効果
◇電子本の利点7つ:」1.入手の容易さ、2.可搬性、3.更新可能性、4.規模、5.検索容易性、6.相互参照可能性、7.記号・文字・音声・映像と多様な表現媒体の組み合わせが可能
◇読書と脳と思索とは一体のこととして捉えなければならないp58⇒読みずらい電子本より当然ながら表示が安定した印刷本の方がはるかに適している…


{6/29-7/2読了、記入は7/6}