読書録

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2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

2ちゃんねる管理人、西村博之氏が、佐々木俊尚氏や小飼弾氏との対談などを盛り込みながら、インターネットの現状や未来について語っている。(発行は3年前だが・・)

本著のタイトルに対する答えとしては、「まずは結論」の章で、あるジャーナリストの話として、
「これは社会に影響力を持つまでに成長したインターネット内の大きな存在を、たとえ国家権力であろうと簡単に潰していいのかという精神的なハードルが生じている証拠。故に違法な世界だが、巨大化してしまった2ちゃんねるを野放しにしている」(p12)と紹介している。


3年前の2007年に書かれた内容だが、佐々木氏との対談のなかで、梅田氏が理想論、ひろゆき氏が現実論と対比しているのは、なるほどと思う。佐々木氏が、二人が両極端で、『理想と現実のせめぎ合いに生きている我々の気持ちを理解していないな』(p119)という発言に、共感を覚えた。


また、ひろゆき氏が、変なルールとして、出廷できなければ敗訴になり賠償金支払いが命じられる一報、「賠償金に関しては支払わなくても刑事罰が発生することはない」(p133)ということをあげ、自分はルールの上で認められた行為をしている、ということは、広く知られていることではあるが、いかがなことかと思ってしまう。加速度的に進化しているインターネットに、法律が追いついていけない状態があるという指摘(p151)は、確かにそうではあるが。


ひろゆき氏は、ローレンス・レッシグの人間の行動を決める要因(道徳と法律と市場とアーキテクチャー)を引用しながら、インターネットによって引き起こされる問題の対処は、市場が決めることだと考えていると論じる。すなわち、サーバーを国外におき、道徳も国によって違い、アーキテクチャーも公開形式なので一人では決められない、ことなどをあげている。(p152)

先に読んだインターネットと中国共産党で紹介された人民網内の掲示板が必要とされているごとく、いろいろ毀誉褒貶はあるが、2ちゃんねるは、改めて生き残っていくのだろうと思う。
ただ、ひろゆき氏は、『なぜ捨てたのか』も発行しているようなので、こちらも読んでみたいものだ。

{読了同日記入}