読書録

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『おとなの叱り方』 和田アキ子 著

おとなの叱り方 (PHP新書)

おとなの叱り方 (PHP新書)

みんながいい人になりがっている今の時代、ひとつ間違えばパワハラとして訴えられるなかで、著者がいうように、愛情をもって「叱る人」というのは減ってきた。
著者が言うことは正論だと思うし、それだけの人生を歩み、自信があるからこそ「叱る」ことができるのだろう。
挨拶や身だしなみ、食事のマナー、公衆のマナー、親としての子どもへの接し方など、とても常識的なことばかりではある。
ただ、自分を振り返って、身だしなみや食事の品位など、今でもだらしないところがあり、反省しなければいけない。
『「生きていけるなら、なんでもいいじゃん」じゃ、精神が退化する(p56)』といわれているが、服装や食事など、退化してしまったかも知れないと思いつつ、この本のひとつ前に読んだ中島義道さん流に、あまり周りを気にしないで、好きなようにやることにも魅力は感じるが、どうしたもんだろう。

和田流叱り方として紹介している、助走をつけ、目を見て、恩着せがましくせず、叱ったあとはフォローする、ことなど、ノウハウとしてもその通りだろう。
著者が子宮がんを患って子どもを産めない体になった一方で、子どもは好きで、東南アジアの恵まれない子供達の里親になるボランティア活動を20年以上続けていることなど、全く知らなかったが、こうしたエピソードや生き方が、合間にさらっと記されている。とても大変だったんだろうと思う。若干古風なところがあり、仕事より子育てなどとも主張されているが、そこはまた微妙なところもあるか。

うぬぼれて自分を見失わないようにと、最後に大好きな詩として、茨木のり子さんの「自分の感受性ぐらい」という作品を紹介しているが、「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」のところで、ほろっと感じるものがあった。

この他、印象に残ったところの引用
p41:やっぱりどこかで不安だし、孤独なんだと思う。・・誰かに認めてもらいたい。そういう人にとって「叱られる」って、ある意味、心地いいんじゃないでしょうか。・・相手のことを真剣に考えてないとしかれない。・・これってまさに無償の愛。みんな、それを本能的に感じているんだと思う。
p67:(個性を大事にと言いすぎて、社会のルールや公衆マナーが忘れられ、ルール無視はエセ個性)
p78:「メールじゃなくて、もっと人と話せ、声を出せ」
p122:「礼儀を大切にして、社会のルールは絶対に守る」。これも美意識の一つ。こだわりみたいなものですね。
p124:年賀状でもふつうの手紙でも、その一の手描きの文字で書かれたもののほうが、やはりもらって嬉しいし、こころが伝わる。
p145:(自分を見失いそうになったら、好きなところと嫌いなところを10個ずつ書いてみる)
p162:この本の中では、何度も「もっと声を出せ、言葉を発しろ、人とコミュニケーションしろ」と言いつづけています。
p174:なんの策略もなく、無防備に自分の懐に飛び込んでくるヤツは「かわいい」ということです。
p190:回りの人への感謝の気持ちを忘れていることに気づいたら、そのときは、自分で自分を叱ってください。・・「ナンボのもんじゃい!」って。

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