読書録

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きみはなぜ生きているのか?

きみはなぜ生きているのか?

きみはなぜ生きているのか?

高校生になってひきこもってしまったクライ君のもとにニーマント(nobody誰でもない人のドイツ語)から届いた手紙という形式を使って、過去、未来、いま、そして死について綴り、「少しだけ生きる勇気を与える(p186)」ことを伝えようとしている。

p167〜8の5回目の手紙の中に、言いたいことが詰まっているように思うので引用。
「(君が明るかったのは)このもろい世界で無理やり「みんな」に合わせなくてもいいんだ、ということにぼんやり気づいたからなんだ。だから、きみは「みんな」とちょうど逆に、これからは「暗いこと」に向かって、つき進もうじゃないか。いつもいつも「死」のことを考え、未来がどこにも「ない」こと、過去はどこにも「保存されていない」ことを忘れないようにしよう。そして「いま」とはきみが何かをしようとしている時、きみがまさに選択しようとしている時であることをしっかりおぼえておこう。どう選択しても、「正しく」は選択できないんだから、勇気を持って「好きなこと」だけを選ぼうじゃないか。」

著者はまた、この子供向けの本で、哲学に必要な才能として、1.あたりまえのことに不思議だと驚く、2.ごまかしのない素直な心、3.与えられた問題をあくまで自分のあとまであきらめずに考えていく姿勢、の三つをあげている。

著者に対しては、これまで勝手なことばっかりいっているなあ、という印象があったけど、この本で繰り返し語られる「(まわりからどうみられるかを気にせずに)ただきみがしたいことだけを心に思い描いてごらん」(p142)、「まっすぐに自分のしたいことに手を伸ばさねばならない」(p150)というところは、人から勝手と思われても、自分の思うように好きなことをするのが、確かに生きるのが難しい時代に、かろうじて心の病を克服しながら生きていける方法なのかも知れないとも思った。

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