- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/04/08
- メディア: 文庫
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こういう心理状態もあるかも知れない、と恐ろしくなる本。過去の類似した少年犯罪をいろいろ思い起こした。
桜宮正義は夜回り先生をもじっているのだろうか?最後の方の隠されていた話が出てくる部分で
p291「でも、憎しみを憎しみで返してはいけない。それで心が晴れることなど、絶対にないはずだ。それよりも、彼らはきっと更正することができる。そう、信じてやってくれ。それは君の再生にもつながるはずだから・・・」というのは、正論だとは思うのだが、全体の流れの中でみると、そんなきれい事ではないといっているような気もする。
むしろ、子どもたちが魔女裁判のようになっていく心理
p84「ほとんどの人たちは、他人から賞賛されたいという願望をすくなからず持っているのではないでしょうか。しかし、良いことや,立派なことをするのは大変です。では、一番簡単な方法は何か。悪いことをした人を責めればいいのです。・・・そして一度その会館を覚えると、一つの裁きが終わっても、新しい会館を得たいがために、次に糾弾する相手を捜すのではないでしょうか」
というところが、弱さであり、今の社会状況にもあっている。
それにしても、話の展開、登場人物のそれぞれのキャラの立ち方、とても面白い本だった。本屋大賞もうなづける。映画化もされなかなかの評判のよう、早く見てみたい。
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