読書録

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『趙紫陽極秘回想録』

趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏!

趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏!

グーグルの撤退など、未だに自由な言論が認められていない中国。
この本は、天安門事件に至る中国での権力内部の動きがよくわかるとともに、趙紫陽の苦労や思いが伝わってきて、感動を覚えた。
4月6日から12日まで、読むのに1週間かかったが、読み応えがあった。

かつて「趙紫陽の夢見た中国」という本も読んでいたが、本人が語っているだけに、その言葉や文章は重いと思う。
民主主義への信頼というか憧憬が感じられたが、翻って今の日本の政界はどうか?悩ましい。
複数政党制と報道の自由、いずれも実現し、議会制民主主義のもと政権交代もようやく実現したのに、あきらめないといけないのか。
政治は権力闘争、人事とか物事を決まっていくさまは、どんな組織でも、同じなのかも知れないとも思った。


p255:(腐敗と闘うためには)民主政治を確立し、政治を多元化し、より多くの民衆をその過程に関与させ、世論によって政権を監視することで、最終的には状況はよくなるだろう。知夫のASEAN諸国や台湾がそうだった。経済基盤が変化するときには、政治制度にも改革が必要なのだ。

p387:(胡耀邦の文書)民主、自由、平等、友愛という概念が形成され、その結果、人間精神は大いに開放された。社会主義の発展の過程で得られたもっとも重要な(負の)教訓は、第一に、経済建設をおろそかにしたこと。第二に、真の民主主義を確立しなかったことである。・・民主なくして社会主義的近代化はありえない。

p408:じっさいのところ、西側の議会制民主主義ほど強力なものはない。現在、実施可能な最高の体制である。民主主義の精神をはっきりとあらわし、現代社会の要請に応えることができる、たいへん成熟した制度である。むろん、議会制民主主義も完璧ではなく、多数の問題を抱えている。しかし、他の政治制度に比べると、これほど現代文明に適した体制はない。世論の変化に対応し、民主主義を実現するという点で、他のどの体制よりも優れている。そのうえ、きわめて安定している。・・・国家の近代化と現代市場経済の実現を望むなら、政治体制として議会制民主主義を実行しなければならないということだ。
p410:最終目的地が議会制民主主義だとしたら、支配政党は二つの壁を打破しなければならない。ひとつは複数政党制と報道の自由を認めることである。・・二つ目の壁は党内の民主化を図ることだ。すなわち、民主的な手続きを導入し、民主的な手段を用いて党を改革するのだ。