読書録

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『母国は日本、祖国は台湾』 柯徳三 著

母国は日本、祖国は台湾―或る日本語族台湾人の告白 (シリーズ日本人の誇り 3)

母国は日本、祖国は台湾―或る日本語族台湾人の告白 (シリーズ日本人の誇り 3)

『戦争中に、自分が死ぬとしたら、最後の時に「天皇陛下万歳!」と言えるだろうか。と本気になって考えました。それが立派な帝国軍人だと教えられていましたし、面子上、そう言わなくてはいけないだろうなと考えましたが、自信はありませんでした。私は、恐らく「お母さん」と言うだろうな、と思いました』(p190)→p248には、終戦切腹しなければいけないかと思って同じ悩みを語るところもでてきて、悩みを抱えざるを得ない著者の姿がよくわかる。

一方、出版社は、靖国問題への対応など主権国家とは言い難く、その元凶は日教組によるゆがんだ教育と左翼思想的偏向報道をするマスコミで、戦争中に残虐なことをやったという捏造された自虐史観(東京裁判史観)を排さなければならないという主張だ。「歴史的事実を無視して、日本国を侵略国家などと言うのは真に不遜、無知、不当の極みであって、恥ずべきことと言わねばなりません」ということを言い難いために、この本を世に出したのだろうけど、著者の柯徳三さんは、きわめて冷静だし、良いも悪いもちゃんと認識しつつ、歴史に翻弄されてきたことがわかる。

こういう人を政治的に利用することは、決して許されないことではないだろうか。


(帯ー要旨)
日本で生まれ、日本に養われ、25歳まで日本人だった台湾人著者が語り継ぐ「日本精神」。そして、アイデンティティを模索し葛藤した日々。

(目次ー引用)
第1章 日本人になった祖父(三世代にわたる日本との関わり;清朝から日本時代へ ・・);

第2章 祖父・父と日本(日本で台湾語を教える;祖父の遺したもの ・・);

第3章 学生時代の恩師(東京に生まれる;台湾語と日本語の中で育つ ・・);
p142:私の実感では、昭和十年辺りを境に、だんだんと軍部の締め付けが厳しくなってきたと思います。台湾でも、「内台融和」のスローガンが、「皇民化運動」に変わっていきました。・・改姓名は強制ではありません。しかし、改姓名をすればやはり利益があるから、皆、行うのです。

第4章 軍医となって(日米開戦;思想の統制が厳しくなる ・・);
p186:大多数の人は、半ば強制的に志願させられたというのが現実でした。・・やがて台湾でも学徒出陣となりました。


第5章 母国は日本、祖国は台湾(母国は日本、祖国は台湾;失われつつある日本精神 ・・)
p231:昔、台湾が日本に統治されていた時は、ちょうど夫婦と同じで、同居していると欠点ばかりが目について、嫌なことばかり、目についたところがあります。ところが、別れてしまったから、あの頃は良かったな、と思うものです。そういう感情と同じような懐かしさがあります。私にとって日本に対する思いは、まさに懐かしさなのです。


{図書館から借り12/11読了、記入は15}