- 作者: 江口圭一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/01/20
- メディア: 単行本
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(目次)ポツダム宣言とカイロ宣言;米英同罪史観;自衛戦争史観;解放戦争史観;体験と歴史認識;殉国史観と国イメージ
今、台湾を題材とした番組がネット上で非難されているのは、どういう考え方からなのか?それは、この本でいう殉国史観で、最近のことばでいえば、東京裁判史観とか、自虐史観ともいうべきものなのだろうか。侵略者として指弾されることが許されない考え方だ。
著者は、米英同罪、自衛戦争、解放戦争 の各史観については、当時の歴史的背景を説明してそうではないと明快なのだが、この最後のイデオロギーについては、それが思想的なだけに、なかなかはっきりとは、論破できていないようにも思う。
すなわち親族を死においやった日本国家の責任、戦争指導者の責任を問いたいと疑問を呈したあと、日本人にとっての「国」のあいまいさを指摘する。LAND COUNTRY NATION STATE と順次発達してきたところがあいまいで、
「日清戦争以来、対外侵略を累積し、諸国民、諸民族に多大の被害をもたらし、Tの基盤であるnationとcountryにも巨大な犠牲を強い、land全土を焦土化したあげく、T自身も滅亡した」
p60:「責任を果たす第一歩は、近代日本のアジア侵略の歴史的事実をしっかりと見定めることです」
ということで、STATEを切り分けてちゃんと批判することが大切だという理論展開になっているかと思うのだが、こういう概念だけでは、今の閉そく状況のなかで、国のアイデンティティを求めようというような若い人たちが、納得できるのだろうか?難しい。
{図書館で借り6/16読了、記入は27簡易}