読書録

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『台湾入門』 酒井亨 著

台湾入門

台湾入門

台湾関連で、民進党政権のことまで含めた本というのがなかったが、この本では増補版として、新しい情勢についても触れている。ただ、その後再び、国民党政権に交代し、民進党側のデモも数十万人規模で何度か行われている状況というのは、なかなか理解が難しい。著者は、その台湾について、共同通信出身記者としてのバランスある視点で説明してくれている。巻末には、ネットや図書の案内もあるが、ネットのあるところで見た「むじなブログ」は、この著者が運営しているのだろうか?




(目次-引用)
第1章 政治と意識;
p23:キーワードは「族群」=エスニック・グループ、「認同」=自分が何者か、「本土化」=土着化→台湾の独自性を追求。
p26:20世紀初頭まで漢字との接触がない生蕃(せいばん)→高砂族(日本)、漢字文化を受け入れた諸部族は熟蕃(じゅくばん)→平埔(へいほ)族、
p28:最大の族群はホーロー族(福建南部にいた先住民)、台湾語と呼ばれるホーロー語を話す→びん南語とほぼ同じ
p33:認同-台湾人か中国人か
p36:台湾独立を巡って、議論百出。台湾主権独立(民進党の基本路線)、台湾独立建国論(急進派と建国党)
p50:1979年末の高雄事件(美麗島事件)、国際人権デーを記念した党外勢力のデモが警官隊と衝突。陳水扁当時弁護士が弁護に


第2章 「奇跡」の台湾経済;


第3章 網渡りの外交と中台関係;
p92:1971年に国民党政権は国連の中国代表権を失う


第4章 苦悶の歴史;
p139:1931年の満州事変を契機に・・日本人に同化させる皇民化政策が推進、ホーロー語、客家語、原住民諸語の使用が禁止。


第5章 小さな島国の多様な言語と文化;
p172:言語ナショナリズム:戦後国民党政権が強制してきた公用語=北京語はあくまでも「表向き」の言葉


第6章 日本と台湾のきずな;
p203:台湾人の「親日」は国民党へのあてこすり:
p206:(本省人の評価)、内容を問わず近代的教育システムそのものと教師に熱心な人が多かった点、法治主義が徹底していた点に関しては、ほぼ全員が評価する。しかし、皇民化教育で母語を抑圧したこと、教師の一部や同級生、警官に台湾人への差別があったことについて苦々しい記憶を持っている人も少なくない。
p208:ダムと水路を建設した八田與一技師、台湾語の辞典を編纂した小川尚義らが、台湾に寄与。
p212:「日本精神(リップン・チェンシン)」は、頑固一徹で融通がきかないながらも、礼儀正しい、合理的だ、まじめだ、清潔だ、信義を守る」などの美徳を抽象的に言い表した言葉なのである。


第7章 新世紀の台湾;
p222:2000年に政権交代民進党陳総統が5/20に就任。
p231:中国が「台湾独立は許さない」という・・「建国」のことを指すのだろう。
p233:研究によって、台湾ホーロー人、客家人が、実は漢人移民と平埔族との混血、もしくは平埔族が漢化してしまっただけといったように、平埔族と何らかの関係があることが証明されたのである。→方向性は「中華世界からの遁走」に向かっているといえる。


増補 民進党政権下の台湾(二〇〇一‐二〇〇五)
p240:緑色陣営とは、民進党のシンボルカラー緑にちなむもので、台湾独立志向勢力の民進党と台連。一方、青色陣営とは、国民党のシンボルカラー青にちなむもので、台湾独立に賛成せず、「中華民国」の現状維持志向である国民党と親民党をさす。・・統一を主張する人はほとんどいない。・・李登輝政権登場前後から十数年にわたって進んできた台湾土着化志向は、定着したといえる。
p252:日本の国レベルでは「ひとつの中国」に固執してもたもたしている間に、地方から「日台友好増進」の突破口が開かれているといえよう。・・日本人が台湾を意識するようになった・・きっかけは小林よしのりの漫画「台湾論」・・
p256:台湾人を単純に「親日」だと考えるだけでは、台湾人の複雑な感情を踏みにじり、むしろ将来の日台関係に禍根を残すことになるだろう。


{図書館で借り7/1読了、記入は7/6目次、20引用追記}