読書録

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『ビジネスマンのため法務力』 芦原一郎 著

ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)

ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)

今の時代、誰でも「法務力」が必要だという話を、とてもわかりやすく、具体的な事例を示しながら教えてくれる。
リスクセンサーとコントロールの能力が必要とのこと。臆病さと想像力、神経質さと段取力。
難しい時代になったものではある。



(扉)
法令順守、企業の社会的責任、法化社会…。企業が法的リスクに足をすくわれるケースが増えています。足元を固め、攻めのビジネスに転じるには、第一線のビジネスマン自身が法務力を身につけることが大切です。外資系金融機関の社内弁護士が指南する、法律知識ゼロから始める10問の演習で、法務部と弁護士を上手に使いこなせるようになりましょう

(目次-引用)
p5:自分で責任を持って判断できることは判断し、専門家の助けが必要なときはその力を借りる、それが「法務力」なのです。

第1章 「法務力」の鍛え方
(早朝の飲酒検査―犯罪や事件に巻き込まれるリスク;安全なチラシ―規制に違反してしまうリスク);
p17:法務力は、リスク「センサー」能力とリスク「コントロール」能力から成り立っています。→センサーは、ここは気になるな、念のため確認しておこうと気づく能力で、臆病さと想像力が重要な資質、コントロールは何らかの対応をすることで、神経質さと段取力。
p29:リスクを指摘するだけの報告は無責任な評論家と同じであり、自分の仕事に対して自覚や責任感がない、ということになってしまいます。
p59:具体的なコツには、1.温故知新、2.文殊の知恵、3.最悪シナリオ、4.怒る人がいないかテスト、5.記者会見テスト、6.他山の石 のほか、契約書を読む、法務担当者と話す、などがあります。


第2章 初級編 リスク「センサー」能力の鍛錬
(ダイレクトメールを出す―個人情報漏洩のリスク;システムを開発する―システム契約、間接雇用と過労死のリスク ・・);
p99:能力のコツは想像力。・・会社にかかわりがあるいろいろな立場に自分自身をおいてみて、最悪な事態を考えてみることです。・・リスクを探すという意識を持って、日頃からビジネスの中で想像力を磨いていけば、リスクセンサー能力は少しずつ磨かれていくはずです。何事によらず、できる人というのは、暇さえあればこうしたイメージトレーニングをして、あらゆる事態にいつでも対応できるようにしているものなのです。


第3章 中級編 リスク「コントロール」能力の鍛錬
(ダイレクトメールを出す―契約書の基本と社内調整のコツ;システムを開発する―IT特有の管理手法のツボ ・・);
p104:「やるだけのことはやった」状態にするということ。トラブルを想定し、防止策を講じ、万一発生した場合に備えてこれだけ対応している、ということを、対外的にきちっと説明できるようにしておくことです。そして、「やるだけのことはやった」と言える状態を作ることは、法的責任を負わされる可能性を減らすことにもなります。キーワードは、デュープロセス(適正手続き)です。・・ポイントは3つ、1.価値観の多様化、2.経営判断の原則、3.実務への浸透
p139:事実関係の究明と関係者への配慮の両立を:個別案件対応で重要なのは、関係者によって対立する問題意識と、共通する目的意識を正確に見抜くことです。(例え)ハラスメントなどの事案は、徹底的に事実を明らかにすべきである(法務部門に強い) vs このような事案の解決を長引かせたり、荒だてたりするとかえって会社や社員を傷つける(人事部門に強い)→目的は、ハラスメント問題を乗り越え、会社の業務を円滑にすることという目的は同じ。
p146:コツは、基本的な役割と、関係者が節目節目で集まる場を決めることです。あまり詳細な段取りを決めすぎると柔軟性を失い、予想外の事態に対応できなくなります。
p191:まとめ:「十分な情報・十分な検討」を満たしたデュープロセスを踏むことで、少しでもリスクを減らす・・具体的には、関係者を巻き込んで「リスク出し」「知恵出し」を行って、「文殊の知恵」を活かすのです。このことで説明責任を果たせる、すなわち「記者会見テスト」を使って大丈夫だと思えるのであれば、リスクをとることも可能であると言えるでしょう。・・十分な情報と検討のためには、反対意見もどんどん出させることが必要なのです。議論の過程で説得することはあっても、脅すようなことがあっては、合理的なプロセスとは言えなくなります。

第4章 法律知識、契約書、訴訟、コンプライアンス
(「法務力」と「骨太な」法律知識;「法務力」と契約書 ・・)
p195:必要な法律知識は、専門家の助けが必要かどうかを見抜き、専門家を適切に使いこなすための法律知識です。具体的なイメージとして・・1.対立する利害は何か、2.それはどのように対立しているか、3.それをどのよに調整しようとしているのか、という根本的なイメージとして理解しておく。
p211:何を残しておくか:「十分な情報・十分な検討」がなされたという経緯から証明する・・討議の記録、議事録や決済書、付帯資料

{図書館で借り7/2読了、記入は7/6簡易、19引用詳細に}