読書録

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『現代台湾を知るための60章』 亜洲奈みずほ著

現代台湾を知るための60章 エリア・スタディーズ

現代台湾を知るための60章 エリア・スタディーズ

台湾に興味を覚え、とうとう現代編に行きついた。これまでの学術的な著作群とは違って、気軽に旅行へ行く気分で読むことができるが、背景についてもきっちりと書き込んでいて、かつその姿勢が中立的というか、右にも左にも与することなく、さわやかな印象を受けた。

p20:日本では「植民地支配肯定派(旧来の右派)が台湾を」逆に「反対派(旧来の左派)が大陸中国を」それぞれ擁護している。
「親台派は反共のプライド」を、また「親中派は国民党憎し&対中補償意識」を、それぞれ熱く胸に秘めているのだろう。
日本統治時代という特殊な用語を用い、親台派は「植民地という言葉で当時を呼んで欲しくない」と、「台湾側の肯定派」は「日本精神」の賛美すら送る。戦後の大陸出身者の支配が相対的に苛酷であったため。否定と肯定の中間に位置するのが、台湾の新しい国定歴史教科書「認識台湾」のスタンスだろう。

p53:複雑なのは、台湾史においては、いつのまにか外来者が現地人へと帰化してしまうという現実である。台湾を主体に考えようにも、主語は先住民から漢民族、そのなかでも政権は、鄭氏、清朝、国民党などと、次々に移動してしまうことである。

p60:台湾独立志向の「民進党」プラスそれをさらに極めた「台湾団結連盟」。これに対する大陸志向の「国民党」プラスその新世代格「親民党」。両派は、2002年末の国会議員選挙で議席を二分する形でほぼ拮抗。

p66:台湾か?中華か?揺れる国家的アイデンティティ・・中華民国でなく台湾という国号を求める「正名運動

p71:民主化の父の試み、李登輝学校の台湾志向教育

p169:黄春明のコメント「台湾の母語が失われた原因は日本時代にさかのぼる。日本語が強制され、「方言」の使用が禁止された。

p210:四大エスニックグループが存在・大多数は先祖が福建出身のびんなん系70%、広東系のはっか15%、先住民2%、戦後に来台した大陸出身者が15%。

p217:白か黒でなく二倍の存在・・台湾もまた先住民か中華でなく、

p225:内閣の世論調査で、独立支持が32%、現状維持派が22%

p294:国際映画祭受賞+デジタル文化花盛り

(目次)
1 国際関係―国際社会の荒波の中で;
2 政治―民主化時代の主体台湾;
3 経済―先進工業国の横顔;
4 社会―重層的な多元社会;
5 文化―充実したコンテンツ;
6 芸術―美の宝庫

{図書館で借り6/24読了、記入は7/1簡易途中}