- 作者: 江上剛
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03/28
- メディア: 文庫
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この著者の作品を読むのは初めてだが、サラリーマン世界の悲哀がよく描かれている。ただ、正直者がバカを見るなど、予想した結末と、ちょっと違う展開になっているところがあって、これは、自分が勧善懲悪の世界に染まりすぎているからか、著者が意外性を求めたのか、判然とはしない。セクハラの担当者が、自分の職場で恋愛感情から最後はセクハラで訴えられる恐れが出てくる話など、最近の事例の傾向を絵にかいたような展開になっている。これらの短編を教訓に・・・とはなかなかいかないのが、人間の性なのか。
終りの「第十一番目の戒律」の章では、みずほ銀行での経験から述べている実体験が、なかなかすざましいと思うが、最後の締めの言葉には救われる思いがした。
p462:サラリーマンの皆さんに声を大にして言いたい。「お客のために、家族のために、そして自分のために働け。決して会社のために働くな」 という生き方ができるかどうか。
(紹介文)
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務―不祥事の元凶がオフィスにはあふれている!
サラリーマンが守るべき掟を「モーゼの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。
(目次−引用)
二神に仕えるなかれ ,・・・昇格間近だったのに、転職を誘う甘い声にひっかかり、それが社内での試験だったという可哀そうな話。
偶像を刻むなかれ ,
主の名を妄りに唱えるなかれ ,・・・権力闘争に勝ち抜いたあとに、それが目的化した結果、次に進めなくなる・・ということあるかなあ
安息日を聖とせよ ,・・・古い働き方の典型的な考え方で、休みや遊びが許せない人もいるということ。
汝の父母を敬え ,
汝、殺すなかれ , ・・・成績主義がゆきつくところ。
汝、姦淫するなかれ , ・・・セクハラ担当者がこんなセクハラをするのかなあ・・ホメル、アゲル、フレル 原則なんてあるのかなあ。
汝、盗むなかれ , ・・・部下の手柄を自分の手柄として上申して出世街道を歩む・・・こんなタイプの人、確かにいるような気がする。
汝、偽るなかれ ,
汝、貪るなかれ ,
{図書館から12/28借り1/7読了、記入は13}