- 作者: 鈴木光司
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 新書
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家族をめぐる事件で、昔は良かったというような議論を聴くことがあるが、著者は、むしろ、日本にちゃんとした父親はいなかった、「男らしさ」はなかった」ときっぱり否定する。そして、自らの子育ての経験も交えて、新しい父親像を描こうとしている内容には、共感を覚える。また、未来への希望も感じさせ、説得力も感じた。茂木さんの著作などでも触れられていた点で、やりたいことをやるのが一番ということも納得、ただ、それが見つけにくい時代だけに、競争と協力、社会のことを力強く教えて行くのが、父親としての役目なのだろう。
p203:母性が子供を守るとしたら、父性は子供を峻別し、厳しさを与えていく。・・子供に長く安全な道を選択してほしいと願うのが母ならば、人生の意味を問い、いかに生きるべきかを問うのが父である。
p200:善悪の基準が難しい現代にあって、僕にとっての判断基準は、単一化、画一化をもたらそうとする流れを変え、多様性を持ち込むことにある。
p196:「未来は明るい」と僕は敢えて言いたい。それを自分の子供に伝え、その未来を担っていくのは君たちだと伝えていきたい。汚れを背負った人間たちを丸ごと認め、それを愛しいと思う感情こそが、未来をよりよくする力になるのだ。
p194:非現実的な未来を語る人間と、過去は良かったと歎息する人間に共通していることは、現在を歴史上最悪の時代だと認識していることだろう。けれど、いつの時代が現代よりも良かったのかと僕は問いたい。戦争で家族が失われ、飢饉で食べるものもなく・・奴隷制度・
p130:男の育児はカッコいい。・・子供と一緒にいることで、子供の目線から世界を読み直したり、世間を感じたりすることで、もう一度、自分が子供時代を生き直せたり、自分を再構築したりと、世の中を複眼で見る目を養うことができるからだ。
p124:父性とはなにか、その第一の条件に、危険に立ち向かう勇気を持つことをあげたい。
p66:競争の激しさと協力の楽しさ。その両方を知ることがこれからの複雑な社会を生き抜く大切な要素と考える。
p142:才能とは、それをどれだけ面白がれるか、だ。あるいは面白がって夢中でやっているうちに生まれるものだ。もちろんそこには努力や忍耐も必要だろうが、その二つは面白さを増やしていくために必要なだけだ。
p116:子供がいるから仕事ができない。子供ができたから夢を諦める。そんな通説は僕の場合はまったく逆に作用した。子供がいるからこそ仕事にやりがいができ、子供がいるからこそ夢を実現させる力が出てきたのだ。こうして無頼派に憧れ一作家を目指した男は、「文壇最強の子育てパパ」に変貌していった。
細かい点でも、フライパンをすぐ洗うこと、ウンチのついたおむつを洗うこと、洗濯でいろいろわけないことなど、自分の経験から照らして、同じようなことで対立するなあと、面白く感じた。
p151:子供に「勉強しろ」と怒鳴るより、夫婦間の買い差を増やしていくことのほうが、余程子供にとって勉強になる。・・夫婦間のコミュニケーションを活発にすることを考えた方が有益だ。
{フォーラムで7/27借り8/20読了、記入は24}