読書録

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『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂 冬馬 著

2022年の本屋大賞を受賞した本作は、ロシアのウクライナ軍事侵攻という事態もうけ、とても考えさせられる内容となっている。きっかけは、「2015年にノーベル文学賞を受賞した、ベラルーシのスベトラーナ・アレクシェービッチさんの『戦争は女の顔をしていない』との出会い」で、本作にも関連づけが出てくるのもなかなかいい。発刊したハヤカワ書房のサイト↓
印象にのこったポイントを以下、引用
p78:オリガ「ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる?なんども飢饉に襲われたけど、食糧を奪われ続け、何百万人も死んだ。たった20年前の話よ。その結果ウクライナ民族主義が台頭すれば、今度はウクライナ語をロシア語に編入しようとする。ソ連にとってのウクライナってなに?略奪すべき農地よ」 → p439:セラフィマ「オリガを犠牲にして個人的な恨みを晴らしたんです」
 
p93:生徒は、セラフィマ、シャルロッタ、アヤ、オリガ、ヤーナの5人だけとなった
 
p101:イリーナ「私の知る、誰かが・・・自分が何を経験したのか。自分は、なぜ戦ったのか・・・(中略)・・ただ伝えるためだけに話すことができれば・・私の戦争は終わります」 ←戦争は女の顔をしていないの p476:アレクシエーヴィチが書きたい書物
 
p269:ドイツ国防軍人 ハンス・イェーガー
p348:(同じ村・)ミハイル少尉(=ミーシカ)との再会
 
p363:(狙撃手がどのように生きるべき存在か と聞くシャルロッタに2つのアドバイス)パヴリチェンコ「誰か愛する人でも見つけろ。それか趣味を持て。生きがいだ。私としてはそれを勧める」 → p460:(イリーナは)女性を救おうとしていた、

 

著者のインタビューが記事化され、思いを伝えている↓一部を引用

www3.nhk.or.jp

(逢坂さん)
「突如として自分たちの町が廃虚になっていき、周りの人たちが死んでいくことになったウクライナの市民や兵士。そして直前までウクライナに行くことを知らず、突然の戦いで命を落としたロシア兵。国どうしの争いの背景で死んでいく人たちのことを考えたい。侵攻が終わったあとも、大切な人の帰りをずっと待ち望む人たちが出てくるはずで、そうした人たちの悲しみに思いをはせる1つのきっかけに自分の小説がなってくれたら、自分がやったことは無駄じゃなかったと思うことができます」
 クリスマス前に休戦しないと言明したというロシアのプーチン大統領。年末恒例の記者会見などなくなるなか、どう終息させていくのか・・日本でも寒い日が続く中、インフラも攻撃され生活が脅かされるという事態は許しがたい。その一方、これを書いている日の朝刊は、敵地攻撃能力保有など安保転換という一面記事。さまざま変っていくなかで、大切なことは何か、考えていきたい。
 
{2022/11/17木-12/1木:読了、記入は12/17土②}