- 作者: 内田康夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/08
- メディア: 文庫
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- 作者: 内田康夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/08/01
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その土地を楽しく知るには、西村さんや京都なら山村さんなど、ご当地の推理小説を読むのが一番、というわけで、久しぶりにこの著者の千葉・房総を舞台にした本著を手に取る。
仁右衛門島から着想を得て、著者が「社会派的傾向の作品の一つの到達点として記念碑的な」というように、この本の中には、背景として北朝鮮の不審船問題や拉致問題、オウム事件と破防法の対応などが出てくる。「北方四島を食い物にした、あのいかにも風采の上がらない小男でさえ」(下巻p160)なんていう表現は、某代議士のことをすぐに思い起こしてしまうぐらい皮肉を込めているのだろう。
美瀬島という鎖国が続いているかのような島を設定し、天羽紗枝子(あまは・さえこ)という魅力的な女性をヒロインにして、点を線に結び、謎が次々膨らみながら解決していくストーリーの面白さは、さすがというしかない。浅見光彦シリーズの中でも、印象に残る作品になっていると思う。
最近は本を読む時間が少なくなっていたが、この本は先のストーリーが読みたくなって、勤労感謝の日にドリンクバーでコーヒーを味わいながら、結末まで最後は一気に読んでしまった。
{11/13-23読了、記入も同日}