読書録

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ラストワンマイル

ラスト ワン マイル (新潮文庫)

ラスト ワン マイル (新潮文庫)

地区センターの新刊本コーナーにあって、扉の文言を面白そうだったので、借りてみた。
映画「沈まぬ太陽」を最近見て、どこまでが実話でどこからが小説なのか戸惑ったが、この小説も、楽天がTBSを買収に乗り出していたころと、ライブドア堀江社長がクローズアップされていたころを彷彿とさせ、一気に読んでしまった。読者としては、主人公に肩入れしたくなるもの、最大手の運輸で郵政民営化でコンビニの顧客を奪われそうになるところなどは、クロネコヤマトのことなどを想起して、これも応援したくなりながらページをめくり、「形勢逆転」でうまくいったときは、まあ期待通りというか、安堵感を覚えるのは、あまりにも取り込まれすぎたか。
また、背景として、メディアとネットの今後、既存メディアの体質批判、新たなビジネスプランの提示など、今の状況が書き込まれていて、テレビも新聞も崩壊するという本まで出る昨今の状況のなかで、興味深かった。

(引用)
(扉部分=要旨)本当に客を掴んでいるのは誰か―。暁星運輸の広域営業部課長・横沢哲夫は、草創期から応援してきたネット通販の「蚤の市」に、裏切りとも言える取引条件の変更を求められていた。急速に業績を伸ばし、テレビ局買収にまで乗り出す新興企業が相手では、要求は呑むしかないのか。だが、横沢たちは新しい通販のビジネスモデルを苦心して考案。これを武器に蚤の市と闘うことを決意する

p69:ビジネスは健全な社会があってはじめて成立するものだ。
p110:自由というのは何でもありということを意味するものではない。
p155:(高給の職員と低報酬の外部スタッフ)こんな馬鹿げた経営がまかり通るのも、認可制の下、独占的に放送業務を行うことを許されているテレビ局ならではのことだ
p262:社会に発信される情報の密度は上がるだろうが、一つ手法を間違えれば、情報の垂れ流しとなる可能性がある。読者は・・判断を下す時間的余裕すらなくなってしまいうのではないか。
p302:どんなビジネスでもラストワンマイルを握っている組織が絶対的支配権を握る
p452:フランスの哲学者アランの言葉を引用・・安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産むと

{地区センターから借り、15読了、記入は17}