読書録

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『天才の栄光と挫折』 藤原正彦著

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

数学というのは、つきつめると美学というか哲学というか、著者のように文学にもなりうるのか、不思議な学問だ。
それぞれ登場人物は個性的で、また敬愛の念をこめて著者が紹介している各人の生き方は、扉文にあるようにすざましい。
著者自身、あとがきで小川洋子さんが触れているように、先人と同じように、単なる数学の世界にとどまるのではなく、
それを世に訴えていこうという姿勢があるのだろう。
それにしても、この本では解説の用なしとしたのだろうが、ワイルズが8年をかけて当初の発表から修正して解決した「フェルマーの定理」など、この言葉は知っていたけど、どういう内容であるのか、理解苦しもうところも多々あった。


(扉)
自らも数学者である著者が、天才数学者―ニュートン関孝和、ガロワ、ハミルトン、コワレフスカヤラマヌジャンチューリング、ワイル、ワイルズ―九人の足跡を現地まで辿って見つけたものは何だったのか。この世にいて天国と地獄を行き来した彼らの悲喜交々の人生模様を描くノンフィクション大作。

(目次-引用)
神の声を求めた人―アイザック・ニュートン


主君のため、己のため―関孝和


パリの混沌に燃ゆ―エヴァリスト・ガロワ;決闘で命を落とす


アイルランドの情熱―ウィリアム・ハミルトン;初恋の人に寄せる思いの深さ〜30年


永遠の真理、一瞬の人生―ソーニャ・コワレフスカヤ


南インドの“魔術師”―シュリニヴァーサ・ラマヌジャン;ヘッケ作用素固有値に関する魔術師的予想・・


国家を救った数学者―アラン・チューリング;同性愛を警察に告白し自殺・・暗号解読でコロッサス1943世界初コンピューター


真善美に肉迫した異才―ヘルマン・ワイル;ゲッティンゲン研究所か家族かの選択


超難問、三世紀半の激闘―アンドリュー・ワイルズフェルマーの定理で、楕円曲線とモジュラー形式の志村ー谷山も貢献


解説by小川洋子
p288:神の声を聞いてしまった者たちが払う代償は、あまりにも大きい。

{地区センターから借り5/8読了、記入も同日、10補足}