読書録

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『文明の衝突と21世紀の日本』S・ハンチントン著

文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)

文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)

冷戦後、世界は平和に向かうのか、それとも・・という時代背景の中で登場した前著『文明の衝突』は、1993年当時評判になり、文明どうしの衝突というコンセプトは記憶に残っているが、内容を細かく読んだことはなかった。

国際政治を学んだのは、25年以上前のことになるが、ハンチントンの示した概念というのは、現状や将来について、きわめて有効に説明しているように考える。その後の9.11などイスラムとの確執や、中国とのかけひきなど、「西欧はその価値観と文化を他の社会に押し付けようとして対立を招くだろう。人口爆発に根差すイスラム社会の挑戦と台頭する中国との関係が特に難しい」(p27)」などは、なるほどと納得させられる。

この本で紹介する世界の主要文明は、西欧、東方正教会、中華、日本、イスラムヒンドゥーラテンアメリカ、アフリカの7ないし8としているが、ここに「日本」が入ることで、この本の解説を書いている中西輝政教授は、日本固有の文化を見直し、戦前や戦中の極端な自己否定が戦後の倫理的・精神的荒廃や教育の荒廃の原因との論を展開しているが、危うい印象を受けた。

 

(扉)
93年に発表された「文明の衝突」理論は、その後のコソボ紛争、さらに東ティモール紛争でその予見性の確かさを証明した。アメリカ合衆国の「21世紀外交政策の本音」を示して世界的ベストセラーとなった「原著」の後継版として、本書は理論の真髄を豊富なCG図版、概念図で表現。難解だったハンチントン理論の本質が、一目のもとに理解できる構成とした。その後九九年に発表された二論文を収録、特に日本版読者向けに加えた「21世紀日本の選択」は、単行本「文明の衝突」の読者必読の論文である。

(目次-引用)
二十一世紀における日本の選択―世界政治の再編成
(冷戦後の世界;パワーの構造;文化および文明的観点から見た孤立国家・日本の特徴);


孤独な超大国―パワーの新たな展開(パワーをめぐる国際関係;アメリカは慈悲深い覇権国ではない;無法者の超大国;柔軟な対応;孤独な保安官);


文明の衝突―多極・多文明的な世界(多極化・多文明化する世界;文明の性質;現代の主要な文明;文明の構造;中核国家と文明の断層線での紛争;冷戦後の国際関係;アジアとアメリカの冷戦;転機となる戦争、アフガン戦争と湾岸戦争;西欧の再生はなるか?;文明の共通した特性)


{図書館から借り5/11読了、記入は11作業中}