読書録

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少年事件に取り組む/藤原正範

少年事件に取り組む―家裁調査官の現場から (岩波新書)

少年事件に取り組む―家裁調査官の現場から (岩波新書)

家裁調査官の経験から、調査や審判の実際、悩みを率直に紹介しながら、「少年司法」のあり方について、問題提起をしている。
少年による衝撃的な凶悪事件があいつぐなかで、2000年に少年司法の改正があり、厳罰化、事実認定、被害者への配慮という3本柱が新たに設けられたが、著者は、「明るい展望を見出すこともできていない」とする。それは、少年がなぜ非行を起こすのか、非行が少年の人生にとってどういう意味があるのかということが、市民に向けて説明されていないからだという。(p207)多くの人が納得できるように、非行の科学を進める努力が必要だという。
この著作の中で、少年司法の基本は、「ヒューマニズムにあふれた科学的実践」だったのに、改正により、むき出しの司法=以前より貧しい姿になった、と嘆く。ただ、この本の中の事例にもあるように、教官が少年と信頼関係を結ぶことができたと思ったとき、少年の心が離れて行くという事例も紹介しているように、極めて難しい課題だと感じる。

{フォーラムから1/9借り18読了、記入は25日}