読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

あなたを自殺させない

副題にある通り、≪命の相談所「蜘蛛の糸」佐藤久男の闘い≫を、朝日新聞の記者である著者が、密着しながら伝えている。自殺率が全国一と言われる秋田で、こういう活動が行われていたことを、正直、知らなかった。決して専門家ではない佐藤久男さんが、ここまで信頼され、相手を助けることができたのは、本著を読んでいると、相手に寄り添いながら、ひたすら傾聴する姿勢ということか。同時に読み進めていた「モタさんの言葉」にも通じる部分を感じた。


出版した【新潮社ホームページ】http://www.shinchosha.co.jp/
この本は⇒ http://www.shinchosha.co.jp/book/306702/で目次や著者プロフィールもあり。

なおp53に紹介されている、佐藤久男さん自身が「ゆいぽうと」から発行した最初の著作は⇒

死んではいけない―経営者の自殺防止最前線

死んではいけない―経営者の自殺防止最前線


本著自体はけっこう分厚く、また内容も濃く考えさせられるため、読むのに正直、時間がかかってしまった。

ただ、自分が落ち込んだ際に繰り返し読んできたヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』が引用され、「ユーモアは自己を維持するための心の武器p58」で、プライドや勇気、希望、信用など「明日がある」という気持ちを失えば、人間は絶望し、場合によっては死に追い込まれてしまうp49、という点は、深く共感するところだ。

このほか、印象に残ったポイントを少し引用
◇面談の3つのキーワードは、ゆっくり、きっちり、じっくりp141+ただ聞くだけp196
自殺対策基本法の成立に影響が大きかったのは、故・山本孝史参議院議員と、NPO法人ライフリンク」の清水康之氏(1972生で97年にディレクターとして入局、01年に自死遺児シュア愛で04退職し立ち上げ、自殺実態白書2008を刊行、13年に拡充版p169
◇自殺には平均4つの危機要因を抱え、
・事業不振→生活苦→多重債務→うつ病
・子育ての悩み→夫婦間の不和→うつ病
・昇進→過労→仕事の失敗→職場の人間関係→などp184
◇旅館の女将へのメッセージp270
・商売の道は感謝の道 ありがとうございます
・この絆館のお蔭で、私は今日一日働くことが出来ます
・この絆館のお蔭で、お客様からいろんなお話を聴くことが出来ます
・この絆館のお蔭で、子供達の成長を楽しみに応援することを出来ます
・こころに太陽を 体に休養を!!
◇小学生向けに話すため、山本ゆき(孝史議員の妻)に教えられた『いのちのまつり』(サンマーク出版

いのちのまつり―「ヌチヌグスージ」

いのちのまつり―「ヌチヌグスージ」

◇講演で紹介p286「インドの宗教家に、『我々の心配していることの98%はあたらない』って言葉があるんです」+かつて新聞で読んだという長生きの秘訣「5点あります。一つは小食です。あまり食べない。二番目は菜食。野菜を食べる。三番目は適度の運動。わかりますね。四つ目。男の人はね、女の人に絶えず関心を持つこと。五番目は、女の人は、早く旦那に死に別れること。その五点だそうですよ!ね、私がいったわけじゃねえすよ。ということで、今日のご挨拶を終わります。ありがとうございました」
◇あとがきに、佐藤さんが敬愛する幕末の儒家佐藤一斎箴言を紹介「一燈を掲げて暗夜を行く。暗夜を憂うこと勿れ。只だ一燈を頼め」p295←この言葉も、何度か過去に読んだ気がするのだが、何の本でどういうエピソードだったか、、、いずれは思い出せるか?


{1/27-2/7読了、記入は8}