読書録

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アダム・スミスぼくらはいかに働き、いかに生きるべきか

アダム・スミスといえば、「神の見えざる手」で、利益を追求して自由競争すれば、結果的に社会全体がベストの状態で調和がとれるという、自由放任主義のイメージだ。ところが本著で各所に引用されている「道徳情操論」を知ると、決してそれほど単純ではなく、深い人間観察に基づいた幸福論を含めた洞察があったと知った。古典というのは、深く思索して生み出されるものだけに、きちんと読んでおかないといけないとも感じた。著者が意訳しているスミスの言葉がわかりやすい。
〇p222(p257):幸福とは、健康で借金がなく、自分の良心に背いていない(やましいところがない)状態である(=心の平静を手に入れること)
〇p118:一番大事なのは安全、次に大事なのは財産
〇p18:人間を不幸にするのは、不必要に「差」を意識して、自分を不幸だと思い込む気持である。


出版した日経のサイトに目次あり⇒ http://www.nikkeibookvideo.com/item-detail/19741/


その他、要素として備忘録的に概要を引用
◇国の富みを増やすために「分業」と「資本蓄積」が必要で、そのためには各自が自由に経済活動ができる=「自由経済」の必要性・重要性を主張p172
◇資本蓄積を邪魔するのが「政府」と「規制・特権」p157
◇政府の役割として必要なのは、?国防、?司法・警察、?公共事業・教育p230
道徳感情論のエッセンス(p265〜)人は他人から同調・称賛されたいが、善悪は自分で決められず、世間の評価や反応を通じて判明する。これを取り入れて自分の中に「本質的に正しいルール」を創り上げる。
・この自分の中に作り上げた正しいルールに従い、世間の表面的な評価に踊らされないのが「賢人」で、誤りを犯した時には非難をうけるが、自分の心には偽りなく生きているため心の平静を得ることが出来る。
・心の平静を得るために正しく生きなければならない〜p267
◇経済発展の本当の目的は、人が心穏やかに生きられるようになることp281、生活に必要なものをそろえ、失業をなくすために必要。そうすることで人々は心の平静を保ち、幸福を手に入れられるから、


著者が冒頭で主張するように、経済大国となった日本でなぜ不幸を感じるのか?という疑問から、自分の足で立ち、自分の価値観で考えることが不可欠=自分の軸を持っていること(p16)が、大切なのだと思う。


{11/23-27読了、記入は30}