読書録

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病んだ部下とのつきあい方 (中公新書ラクレ)

心を病んだタイプごとに、かけて良い言葉、悪い言葉が記され、わかりやすい内容となっている。自分も病みかけたことがあっただけに、さまざまな本に接してきて、これまでと違う知見があったわけではないが、改めて心の問題について少し理解を深めることができたと思う。
メランコリー親和型(やさしい・きまじめ・きちょうめんYKK)うつ病→〇自分のペースでやればいいぞ ×君らしくもない。しっかり頑張れp44
新型うつ病(職場恐怖症に近い)→〇無断欠勤だけは頼むからやめてくれ ×お前、やる気あるのか!p51
適応障害(特定職場・人間NGタイプ)→(ガス抜き)〇そうか、大変な事情を抱えているんだな… ×誰でも経験するストレスだから、気にしないことだねp63
◇自己愛性パーソナリティ障害(自己中タイプ)→(距離をとっておだてる)〇さすがだね、参考になるよ ×会社は君中心で動いているんじゃないんだぞ!p73
統合失調症 〇そうか…そんなに困ったことがあるんだなp90
パニック障害 〇すごく苦しいんだよねp102


出版した中央公論新社のサイト⇒ http://www.chuko.co.jp/laclef/2013/10/150472.html


このほか、心構えについては、これまでにも引用してきた教育論も紹介され、生きていくうえで参考になる。以下、印象に残ったポイントなど。
◇対応の基本としては、傾聴、共感、受容だが、共感するときは、事実と感情に分けて対応することが大切だという。p142
◇予防にも治療にも優先されるのは、食事・睡眠・運動の基本活動で、まずは生活習慣の改善をp152
◇大規模調査によれば、心の健康問題によって職場から離れて療養する人の平均療養期間は約5か月で、半年弱というのは精神科医の感覚として矛盾しないp163
◇部下を病ませないヒントとして、10か条を示しているが、このうち備忘録として、
第1条「自分の基準・推測で部下が動くと考えない」相手の主体性を尊重する態度で接する
第3条「部下の休日に干渉しない」休日に上司から指示が飛ぶプレッシャーに配慮を
第4条「結果でなく、努力を褒めて間違いから学ぶ」←連合艦隊司令長官山本五十六の教育論引用;「ほめてやらねば人は動かじ」まではこれまでも引用してきたが、続きについてはあまり知らなかったので、ここに再度引用p194;
『やってみせ、言って聞かせて、やらせてみせ、ほめてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず』
第6条「面倒なことは上司が一肌脱ぐことも」人は尊敬のこもった待遇を受けたときほど、最高レベルのパフォーマンスを発揮できるp205←ポール・メシャンコ(2012)が組織におけるrespectの重要性
第7条「一度でいいので腹を割って話す機会を持つ」相手を質問攻めにすることは控えて、自分から自身の弱みを晒す

さらに「下に厳しく上に甘い」自己中心性を発揮する「クラッシャー上司」には、直言が逆鱗に触れる恐れがあって団結してあたることや、不健康な上司がいる際には、「自尊心の程度を低くして、謙虚になる」ことで、感情を小出しにして爆発するリスクを回避することなどを勧めている。一方、「お前にために言っている」などは、自己保身や自己欺瞞が見え見えのごまかしととられて逆効果なことがあるとも指摘している。


終章に「ミイラ捕りがミイラにならない」ためのストレス対処の特徴を知るコーピング特性簡易尺度というのも掲載されていて、やってみたところ、欲求不満耐性優位型と自己解決優位型のようではあり、「自分の能力だけで解決できない問題に直面したときに強いストレスを感じ、「うつ病を生じやすい性格と親和性がある」との分析…気をつけないといけないかも知れない…


{2/16-20読了、記入は23}