読書録

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最新放送業界の動向とカラクリがよくわかる本

二十代の男性の五人に一人はテレビを見ず、選択肢が広がる中でテレビ離れがおき(p117)、CMスキップで540億円の損失(p114)が出るなど、放送業界は大きく変化している。テレビ視聴が前提のCMモデルが変化していくなかで、IT技術により、テレビが家庭の中でデジタルサイネージと同じような形になったとき、本当にみられるコンテンツとは、リアルタイム性のある報道やスポーツと、ソーシャル視聴を組み合わせた形になっていくと予想される。家電やIT業界のように、変動が激しい状況が、これまで規制に守られてきた放送業界がどうなっていくのか、5年後、10年後、どう対応しているのだろうか。


著者の本はこれで3冊目で、たびたび登場するHaSoNeの法則などは、9月29日に( http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20130929/1380945510 )、国内ではヤフーが強いなどインターネット業界の動向については、10月19日に( http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20131019 )、それぞれ紹介したので、ここでは省略するが、広告のあり方がITを活用したより透明性の高い売り手本位のものになっていく将来、放送業界はどのように変わるのか?広告モデルが大きく変化していくことは、間違いないと思われる。


本著の目次についても、前の2冊と同様、出版した秀和システムのサイトに掲載されいる⇒ http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/3805.html


今回、新たにメモしておくポイントとしては以下。
◇ビジネスモデルから見ると、受信料によるNHKは相対的に現状維持、広告収入による地上放送は相対的に減、収入源の多様化による衛星放送やケーブルテレビは相対的に増加 p80

◇テレビ広告のメリットは、説得性・訴求性、信頼性、親近性・共有性、強制性、話題性、即効性・広範性などあり、視聴されて初めて成立する。しかし、テレビ離れやテレビ以外の広告メディアの登場、CMスキップなど広告をめぐる環境が大きく変化 p152図

◇ネットフリックスなどVODに対応した廉価版STB(ロク、ボクシーTV)の登場で、衛星やケーブルを解約する「コードカット」を引き起こす⇒HTML5対応のスマートテレビ構築競争で誰が覇者に? p174


◇行動ターゲッティング広告の進化でDSP/RTB(ディマンド・サイド・プラットフォーム←広告媒体を需要する広告会社が利用するプラットフォーム:SSPはサプライドで広告枠を供給する側の間を取り持つ⇒リアルタイム・ビッディング)で、利用者の特性を把握したうえで、本当に広告したい人に広告ができるようになるp191⇒スマートテレビに広告を表示する争いにp198


◇放送業界のファイブ・フォース分析 p204 従来⇒変化 p213
1 (新規)新規参入が拒まれる ⇒多様化で脅威+規制の無力化
2 (敵対)競争相手の絶対数が少ない ⇒新たな枠組みへ
3 (代替)無料映像コンテンツで敵なし ⇒ ネットに多種類かつ多数の代替品
4 (売り手)代替できるメディアがない ⇒ 画面占有率の高いコンテンツに広告費シフト
5 (買い手)視聴者およびスポンサーが集約されていない ⇒ 代替品で選択肢の増加



著者が最後に紹介している処方箋として、ドラッカーならこう言うに違いないというメッセージは「断絶の時代を生き抜くには「変化の先頭」に立たなければならない!」p228だが、その通りだろう。


{11/30読了、記入は12/7}