読書録

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お化け屋敷になぜ人は並ぶのか

残念ながら著者がプロデュースしたお化け屋敷に一度も行ったことがなく、話題になったことはかすかに記憶がある程度だが、読むと、一度は行ってみたいと思うようになった。ここ数年で体験したホラー系は、東京ディズニーシータワー・オブ・テラーぐらいだが、ストーリー性があったのは、本著で書かれているような狙いがあったのかとも思う。恐怖に人が興味を持つ心理には、桂枝雀氏の落語のオチ四分類と比較して分析している点も面白かった。ホラー映画はあまり好きになれないが、多くの人に見られ、また、お化け屋敷に人が並ぶのにも、そうした心理があるからなのだろう。


(目次−引用)
第一章 現代のお化け屋敷ビジネスはどうなっているのか;
◇「パノラマ怪奇館96〜赤ん坊地獄」の展示型から、「キャスト」「ストーリー」「設定(参加型)」の三本の柱を確固として、劇場型へ
◇徹底してお客様の視点に立ってシミュレーションしてみる(p39)
◇宣伝、PRで最も効果的なのは口コミ、個人がメディアを持つ時代では瞬時に拡散。最も大きな動機は驚き=美しい楽しいおいしいの主観性と違う普遍性がある


第二章 「緊張」と「緩和」のメカニズムで考える;
◇お化け屋敷とは、恐怖を体験して楽しさを得るアトラクション p47
桂枝雀氏の「オチ(サゲ)」4分類を→:「ドンデン」→意外、「謎解き」→気づき、「変」→唐突、「合わせ」→的中
◇いないいないばあ遊びと共通する「落差」や「間」の大切さ


第三章 なぜ人はお金を払ってまで恐怖を感じたいのか;
◇ゴキブリが怖いのは、室内という密室空間で、速く予想外だから
◇行列は一種のお祭りで、必要なのは共感を強める装置→幸福感であれば、多少快適さを捨てることによってしか手に入らない


第四章 お化け屋敷プロデューサーの仕事術;
◇シンプルでインパクトのあるたった一つのテーマに収斂していくことが重要:「赤ん坊を抱いて歩くお化け屋敷」簡潔に忘れられない大きな衝撃を
◇「桐夫のブログ」現実の出来事を随時物語に導入する手法とゴーストカムのライブ映像を連動させることで、新しいお化け屋敷の在り方作り出す
p188:興奮した人は親しい知人や友人に同じ体験をしてもらって、その気持ちを分かち合いたいのである。それは切実な欲求にさえなる。なぜなら、それは人間が強く求めている「共感」というものの源泉だからである。


{12/6-9読了、記入は12}