- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本
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人を思いやる優しい心にふれると、涙ぐんでしまう・・・とても素敵なお話の数々に、こういう本を読ませてもらって、重松さんには本当に感謝したいと思う。
とりわけ表題のツバメ記念日は、共働きで仕事と家庭の両立をめぐってずっと試行錯誤というか、この本にあるようなケンカをしてきただけに、ひとつひとつの言葉やエピソードが胸に迫ってくる。
p310:「がんばることはいいことだと、子どもの頃から教えられてきた。努力は報われる、と教わった。だが、おとなになるとわかる。努力が報われないことは山ほどある。がんばればがんばるほど事態が悪くなってしまうことだって、いくらでもある。」
この短編集の中で、こうした頑張ることが難しいとわかりつつも、希望を捨ててはだめだよという部分もほのかに感じさせてくれるのが、ツバメの巣であり、また、『球春』に登場する、プロ野球では挫折したけどやがて立ち直る「野口」さんや、この野口さんをスカウトした人など取り巻く人たちだろう。
p50:「がんばってもどうにもならないことって、たくさんあると思う」「ザセツしたことないんじゃない」
(目次)
めぐりびな , ←母の苦労を知らずひな人形のことをなじった幼いころから、親の立場になり、その人形を供養しなければならなくなったが・・揺れる心と思い。
球春 ,
拝復、ポンカンにて ,←故郷を離れる際の、少年と両親の思い
島小僧 ,
よもぎ苦いか、しょっぱいか ,
ジーコロ ,
さくら地蔵 ,←子を亡くしたドライバーが建立し、桜の花を届けて無事故を願う・・
せいくらべ , ←けなげな姉弟と、隣の家の夫婦のやさしさ「その声を聞いた瞬間、胸の中が熱いものでいっぱいになった。せき止められなかった・・」
霧を往け ,
お兄ちゃんの帰郷 ,
目には青葉 ,←言い出せずに結婚ができなくなりそうになったけど、ブランコを見ながら寄り添うことに。「ずっと一緒に乗ろう」
ツバメ記念日
{地区センターで4/25借り27読了、記入も同日}