読書録

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電子戦争 メディア戦争―最前線報告シリーズ2

 33年前の1985年に発刊された本書ではあるが、メディア戦争のところで、いまのテレビとネットをめぐる対立構造と似たところがあり、改めて読んで興味深い。

 衛星放送、高品位カラーテレビ、INS・・・インターネットが登場する前で、INSの端末について「パーソナルコンピューターとワードプロセッサーが組み合わさったものに、ファクシミリとプッシュホンがワンセットで・・・革命的なメディアだp254〜255」など、ニューメディアとして紹介。トフラーの『第三の波』で予言した在宅勤務が実現することになる一方、郵政と通産の暗闘が繰り広げられていることや、既存のテレビや新聞に抵抗感が強かったこと、歴史は繰り返している印象を受ける。

 それにしても著者の田原氏は、こうした将来を想像できる視点があったからこそ、その後の討論番組含め活躍されているのだろうとも思う。最後の方に、ワープロなどOA革命は大して進展せず虚妄だとする見方が学者たちの間に強かったが、実際にはどんどん進行しているとして、新技術との関連を、「道路にあわせて車が走り出している」p262というたとえで、行く末を点検する必要を訴えている。まさにデジタル化がさらに進む中、それでもなじまず抵抗する感覚があるようだが、よくよく技術を理解したうえでどうなっていくか考える必要があると改めて感じた。
 

文藝春秋のサイト⇒ https://books.bunshun.jp/ に本書はなし



{2018/9/19読了、記入は10/13土}