読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

インターネット・デモクラシー 拡大する公共空間と代議制のゆくえ

インターネット・デモクラシー 拡大する公共空間と代議制のゆくえ

インターネット・デモクラシー 拡大する公共空間と代議制のゆくえ


 本書の解説で、林香里教授はp189_190で次のようにまとめている⇒「インターネットをマクロな社会現象としてとらえることによって、それがたんなる技術ではなく、社会に思想的な変更をもたらすパワーをもつことを明らかにしている。著者はとくに、主体の見えない決定メカニズムとしての「自己組織化」というメカニズムに、注意を喚起している…思想としてのインターネットが民主主義の構想にどのように作用するか。…結論を出せないのは…ユーザーの自己言及を通して増殖し、予測が困難で偶発性の高い自己組織性に依拠するからなのだ」 

 アメリカではなく、フランスの研究者によるネット論で、文化、哲学的な考察がすすめられ、技術的に難しい話はでてこないのだが、どう理解したらよいかについては、より深く読まないといけないのかも知れない。ために、上記訳者のまとめを借りた次第。


発刊したトランスビューのサイト⇒ http://www.transview.co.jp/books/9784798701226/top.htm


 備忘録としていくつかポイントを引用メモ
◇公共の場における4つの発言形態p66:縦軸に有名人と一般人、横軸にプロとアマチュアで、左下に公共空間、右下に薄暗がりのウェブ(アマチュア&一般人)、左上が限定的な公共の領域、右上が参加型ウェブ、の分け方。

◇情報を発見するためには、キーワードを通じてではなく、友達のナビゲーションによって切り拓かれた道筋を辿った方が便利な場合もあるということだ。p91

◇1901年ガブリエル・タルド『世論と群衆』で新聞の登場で、おしゃっべりと公衆への一体化に二分されたと説いたが、ネットの斬新さは普通のおしゃべりから世論が生まれ、仲介者を通さずに群衆が簡単に公衆になることができるようになったことp111

ツイッターなどの「リアルタイムのウェブ」により、新たな尺度として儒応報の流通速度を重視する、人目に触れる領域を計測する新たな手法が発展した…流行のおしゃべりの話題をリアルタイムで見張る計測器の役割を果たすツールが、重視されるようになった。ネット利用者は新着情報を探すようになったために、このようなウィルスの計測手法は、他のランキング手法と競合するようになった。p150

◇(解説)インターネットを得たことによって、身の回りの権力やお仕着せの権威に敏感になった。日本ではこの流れで最初に批判の矛先が向けられたのが、私たちんの生活のもっとも身近にあるマスメディアだった。「ネット右翼」のほとんどが、同時に大手メディア批判を展開していることも偶然ではないし、…「マスゴミ」と称されることも…イデオロギー衝突と摩擦の象徴的な現象といえよう…記者クラブ制度への批判…言論・表現分野での機会均等意識が広がっていることと無縁ではなかろうp183_184


 震災から7年の3.11。この読書録に5冊を記録するのに、朝から横目で震災の特別番組をながめながら、この時間までかかってしまった。犠牲になられた方々のご冥福と1日も早く安らかな日々が戻ることを祈りつつ、生きていることができる時間を、なんとか有意義に使っていきたい。
  

{2018/3/3_4読了、記入は11日曜}