読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

沈みゆく大国アメリカ

マイケル・ムーア監督の『シッコ (SICKO) 』(2007年)を思い起こしたが、アメリカの医療制度は高額所得者に優遇され、オバマケアもひどいが、日本の医療・介護分野はいまアメリカ資本に狙われており、素晴らしい日本の国民皆保険制度を守るべきということが記されている。

とてもわかりやすい主張とそれに沿った証言がでてくるのだが、どうしても『オバマケア』がこういう内容だったのかどうか、シッコで描かれていた状況を改革しようとしても、アメリカの自由主義の風土から銃規制のようになかなかうまくいかないという印象をもっていただけに、少し違和感も感じた。

本著に書かれているMITのジョナサン・グルーバー教授が「この法律はオバマケアが増税政策であることを伏せる形で書かれました。そこを明らかにしてしまったら成立しなかったからです…都合の悪い情報は伏せること、それは政治的には非常に有効なのです。そもそも法律を通すためには、有権者の愚かさというものが不可欠ですからp96」という証言など、ほかの資料や情報からも確認したいところ。


出版した集英社のサイトに特設ページ(目次や著者のビデオメッセージ)もあり⇒ http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0763-a/


著者の父親もジャーナリストだったようで、あとがきに父親が常々言っていたジャーナリストなら死んでも失うなと言葉として、「他者への想像力」というのは、確かにそうだと思う。「寄り添い、共に生きる」ことが失われてはいけない日本の価値観というのも、共感できる。

介護や保育の現場で、このところ事件があいつぎ、厳しい労働環境が課題になっているが、この分野でどういう解決法があるのか、よく見ていかないといけないと思う。


{2/11-20読了、記入は24}