読書録

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楽天道

楽天道 (文春文庫)

楽天道 (文春文庫)

90歳を超えた著者が、50代から60代にかけて書いた作品の中からまとめたエッセイ集。アランの幸福論や経験を引用しながら語る、タイトル通りの楽天主義を貫く生き方=道というのは、生きるのがさらに難しい時代だけに、参考にしたいところではある。


出版した文藝春秋のサイト→ http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167902315 (目次など立ち読みあり)


印象に残ったポイントをいくつか引用
◇私の考え方・人生への姿勢は変わらず一貫している…(中略)…昔も今も全くブレていない。まっすぐ、まっしぐら、人は何と思おうと私は私の信念を持って書き、且生きてきたという姿勢を通している。…(中略)…楽天は私の人生を支えてきた主義だ。次々と襲ってきた艱難辛苦に負けずに今日九十歳まで生きてこられたのは、楽天主義のおかげである。p4
◇(舌切雀の話を引用して)この話は女性哀歌である。女は残酷なのでも強欲なのでもない。男がそうさせ、家庭をいうものがそうさせるのだ。男はその上にアグラをかいて、一見、被害者のふりをしながら女を利用するのである。p159
◇(平常心ではなく矢でもテッポでも持ってこいという心でいるのですぐ逆上する)厄介な気質のおかげで、まあまあ元気に人生への情熱を失わずに生きてこられた。私がなめた苦労の数々は「ひとのせい」ではなく、自分が膨張させたものだと思えば、人を怨んだり歎いたりすることはないのである…楽天性をますます増幅させてくれた「苦労の数々」に私は今、感謝している。p209
◇まことに人間万事塞翁が馬だ。禍福は糾える縄のごとした。…私は苦労の中で上機嫌に生きるために楽天家になった…今は苦しくとも生きつづける限り、必ずいい日はくると私は信じて生きている。「完全な意味でもっとも幸福な人とは、着物を投げ捨てるように、別の幸福を船外に適切に投げ捨てる人である」とアランは言っている。「だが彼は自分の真の宝物は決して投げ捨てないし、またそういうことはできるものではない…彼らは、武器によって闘うように、幸福によって闘う」p223
◇私は、「めげずに生きようとする力」を自分の財産にしようと思った。そして、それを私の幸福とするー。そう思うことによって、私は元気を失わずに生きて来たのである。p224


{5/10読了、記入は16}