- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 新書
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TV解説や本で売れっ子の著者だが、本当に物事をわかりやすく説明する、という能力は、素晴らしいとしか言いようがない。そもそも学校で習ったときは「公定歩合」があったが、今はなくなっているなど、「金融自由化」なる言葉は聞いたことがあっても、その仕組みがこうなっていたのか、ということを改めて教えられた。また、売買などの漢字が中国で子安貝を使った交換が由来で「貝」が入ってくることや、東インド会社の保険のような形で始まったという株式会社など、もとから考えるというのか、何が根拠でそうなっているのか、薀蓄が深い。銀行業務をしなければ「銀行」と名乗ってはいけないといいつつ「ソフトバンク」は良いようだなどと、かつてのダジャレをほうふつさせるような遊びもある。
(目次-引用)
1限目 お金の歴史;
p15:(豆知識で、サラリーの言葉の由来は、古代ローマで兵士の給料が塩=ラテン語でサラリウムだったことから)
2限目 銀行;
p40:発行済みの国債の価格が上昇すると金利が下がり、…下がると金利は上がる
3限目 投資;
p120:(大阪・堂島の商人たちによる米の取引が世界で最初の先物取引)
4限目 保険;
p123:「大数(たいすう)の法則」・助け合う人数が多くなればなるほど…全体から見れば「予想の範囲」に収まるようになる
5限目税金;
p140:「政治家はどのような人か」を一言で言うならば、「住民たちの納めた税金の使い道を決める人」ということになるのです。
p162:NHKの受信料は「受益者負担」:高速道路や空港建設の特別会計と比較しながら
特別授業1 ニュースの中のお金;
p175:現状では預金をしても金利がつかない。でもデフレなので実質金利は高い。ということは、現金の形で持っているのが一番いい。だからますますデフレになる。
特別授業2 身近なお金
p200:年棒制になり…同期入社でも年収で200万円近い差がつくようになっていました。
p220:格安にするにあたって重要な戦略は「バイイングパワーをできるだけ高める」ということです。
記入をした9日夜の特集番組で、復興予算19兆円がどう使われているのかを検証していたが、岐阜のコンタクトレンズ会社の工場増設や、捕鯨妨害対策、テロ対策、刑務所の作業などに配分され、被災地の店の再建をめざすグループや地域医療などには認められないというのでは、税金の使い道としてはあまりに悲しいことだ。経産省や国土交通省、外務省のそれぞれ言い分を伝えていたが、きちんとつながりを説明するだけに、さすが官僚だと呆れ気味に感心してしまった。だからこそ「政治」が必要で、そうした政治をめざしていた政権交代だったのに、なぜこういうことになってしまうのか。中央官庁も悪意があるわけではないだろうけど、「省益」にとらわれ、「被災地」への視点を持てなくなってしまっているのだろうか。
お金はあるにこしたことはない、けど、あっても幸せとは限らない。また、ブランドとか興味はないけれど、安ければいいわけでもない。お金の仕組みを知ったうえで、いかにお金とつきあっていくか、を考えていかないと。
{9/1-4読了、記入は10}