読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

大人の流儀

大人の流儀

大人の流儀

著者の小説を読んだことはなかったのだが、テレビでの出演や新聞での記事などを見て、初めて手に取ってみた。故・夏目雅子さんの夫ということも知られているが、終章に「愛する人との別れ」があり、今になってそういうことだったのかと胸を打たれる。生還にこだわりすぎたのが自分の過ちではなかったかとか、生きることがわかっていなかった(p179)、もう二度と金で揺さぶられる生き方はしない(p185)、親しい人の死が自分の力足らずではないかと悔やむことが多い中で、「時間が解決してくれます。だから生き続ける。そうすれば亡くなった人の笑顔を見る時が必ずきます」といい、映画の中のチェチェンの老婆のせりふを最後に紹介する。
「あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりがあるのよ」(p189)
夏目雅子さんも、もっと生きて仕事をしたかったと思い、いろいろ日々悩みながらも、自分も生き続けていきたいと改めて思う。

本著のエッセイ部分では、ゆとり教育では正岡子規は生まれなかったと批判したり、苦節を味わ時に酒が救ってくれたりしたこと、禁煙への反発など、人間の弱い部分もわかりつつ自由に生きてきたような雰囲気が伺われ、すっきりするところがある。新成人に少し言っておくとして、8項目を上げているのだが、エッセンスになっていると思うので(p155)、以下、短く引用する。
1.すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる。
2.金をすべての価値基準にするな。
3.自分だけが良ければいいと考えるな。
4.世界を見ろ。
5.キリスト教イスラム教、仏教を学んでおくとだ。そこに今の世界観の出発点がおうおうにしてある。
6.他人を見てくれで判断するな。自分の身形は清潔にしておけ。
7.(酒で)乱れるな。愚痴るな。品の良い酒を覚えろ。
8.周囲の人を大切にしろ。家族、友、恩師…
著者はひとつぐらい実行せよと書くが、さて、どれぐらいできているだろうか。

{1/23-2/9読了、記入は2/11}